著者
金 孝淑 ポター デビット サンパニュエン クンディダ
出版者
日本NPO学会
雑誌
ノンプロフィット・レビュー
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.27-36, 2010

本稿では2004年発生したスマトラ沖地震と津波を事例として取り上げ,メディア報道におけるNGOの情報提供者としての役割を分析した.そのために,日本,アメリカ,韓国,シンガポールの4カ国で刊行されている代表的な日刊紙の記事を分析し,NGOによる情報提供の量と内容の比較分析を行なった.その結果,国別,新聞別NGOによる情報は,援助活動と現地状況に関する情報が圧倒的に多く,他組織に関するコメントは少数に留まるという共通の傾向が見られた.一方,NGOの所属と種類には,いくつかの国際NGOを除けば,新聞間でほとんど共通点が見られなかった.NGOによって提供される情報は,津波関連記事の中でより正確な現地状況を把握するための情報を提供するという一定の役割を果たしている.しかし,それはNGOによる情報の中でも少数に過ぎず,これまでの研究が指摘するように,津波関連記事に掲載された情報の多くは政府機関や国際機関に大きく依存していたことを確認した.<br>