著者
川脇 康生
出版者
日本NPO学会
雑誌
ノンプロフィット・レビュー (ISSN:13464116)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1+2, pp.1-13, 2014 (Released:2015-03-25)
参考文献数
26

東日本大震災の教訓として,地域住民,団体など多様な主体の「共助」による災害対応力の強化が求められている.次の大災害の発生が差し迫ったものとなる中,災害時の行政の対応能力の限界も踏まえつつ,平時から地域の住民や団体が相互に協力し合い,災害に備えておくことが重要であるとされる.本稿は,震災前の地域活動への参加に見られるソーシャル・キャピタルの醸成が,震災後の共助活動(支援・受援)に携わる可能性をどの程度変化させていたのか,被災地調査に基づくミクロデータをもとに,支援関数と受援関数の相関を考慮したモデルを構築し,定量的に示そうとするものである.推定結果から,震災前の地縁活動や市民活動への参加程度が増えると,震災後に支援・受援に携わる確率が有意に高くなり,ソーシャル・キャピタルは,復旧・復興過程において人々の相互協力を効率的にし,復興を促進する効果のあることが示唆された.
著者
小牧 奈津子
出版者
日本NPO学会
雑誌
ノンプロフィット・レビュー (ISSN:13464116)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.11-22, 2017 (Released:2017-07-05)
参考文献数
40

本稿では,自殺対策基本法制定以降の政策過程を検討し,そこでNPOが与えた影響を明らかにするとともに,その影響力の源泉の導出を試みた.NPO法人ライフリンク代表の清水康之へのインタビューと,2つの諮問機関での議論の分析から,ライフリンクは,遺族とのつながりを通じて自殺の実態に関する貴重な情報を取得するだけでなく,国会議員とのつながりを構築・強化してきたことが明らかとなった.この国会議員との関係性が,ライフリンクの政策提言の影響力を高める源泉として機能したといえる.ただしNPOが政策過程でそうした大きな影響を及ぼすことには,弊害や危険性を指摘する声も少なくない.実際,本稿からも諮問機関での議論をバイパスし,NPOが政策過程に直接,強い影響を与えている様子が浮き彫りになった.この影響を検証・評価するためには,その後の政策過程を含めて更なる検討を行っていくことが必要であろう.
著者
坂本 治也
出版者
日本NPO学会
雑誌
ノンプロフィット・レビュー (ISSN:13464116)
巻号頁・発行日
pp.NPR-D-18-00021, (Released:2019-10-17)
参考文献数
34

市民社会の発展を促す法制度は,誰によって,どのような理由・動機で,推進されるのか.この点を明らかにする研究は,これまでのところ十分な蓄積がなされていない.とりわけ,法制度の制定・変更に決定的な影響力を有する議員の分析が欠如している.本稿では,現代日本のケースを題材に「NPO政策の推進に関与する国会議員はどのような特徴を有するのか.なぜNPO政策を推進するのか」を,合理的選択論の理論枠組みと国会議員データを用いた定量的分析によって明らかにした.分析の結果,明らかとなるのは,以下の事実である.NPO政策は「票になりにくい政策」であるが,同時にニッチな政策であるがゆえに,「昇進」のための業績誇示の成果を得やすい政策の1つである.それゆえ,選挙に強く「再選」動機が弱い議員ほど,また当選回数が多く「昇進」動機が強い議員ほど,NPO政策の推進に関与しやすい傾向がある.また,中道左派・リベラルな政党や派閥への所属や比例区選出議員かどうかもNPO政策の推進態度と関連している.
著者
竹端 寛
出版者
日本NPO学会
雑誌
ノンプロフィット・レビュー (ISSN:13464116)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.33-43, 2011 (Released:2011-12-20)
参考文献数
43

本稿では,NPOのアドボカシー機能の「小さな制度」化とその課題について考察するために,ある精神医療分野のNPOの事例分析を行った.精神医療オンブズマン制度は,NPO団体の活動実績と提言に基づき大阪府で制度化された,アドボカシー機能の「小さな制度」化の実例である.これは一定の成果があったが,財政削減を理由に廃止された.この事例分析を行う中で,NPOの企画提案に基づく行政とNPOの「協働事業」としての制度化プロセス自体がNPOの一つのアカウンタビリティであったこと,アドボカシー機能の「小さな制度」化は府の政策と実践に具体的な事業改善をもたらしたこと,NPOには制度の成果や地方政府との「相補」性の意義等を事業委託主である地方政府にだけでなく政治家や広く市民にも果たすアカウンタビリティが求められていること,の三つが明らかになった.
著者
竹部 成崇
出版者
日本NPO学会
雑誌
ノンプロフィット・レビュー (ISSN:13464116)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.57-65, 2016 (Released:2016-07-13)
参考文献数
21

近年の研究は,寄付には寄付者の幸福感を高めるという心理的効用があり,その効用はその後の寄付行為を動機づけて寄付を個人内で連鎖させることを示唆している.寄付は資源の再分配の1つの形であることを考慮すると,貧しい人々より豊かな人々において寄付が積極的になされることが期待される.そのため,この心理的効用も,豊かな人々においてより強く得られることが期待される.しかしこれまでの知見を考え合わせると,こうした期待とは反対に,豊かな人々の方が寄付の心理的効用を得にくい可能性が考えられる.また,東日本大震災前後の価値観や状況の変化を考慮すると,この関連は震災後には消失している可能性が考えられる.これらの仮説を検討するため本研究では,東日本大震災前後における経済的な豊かさと寄付の心理的効用の関連を検討した.その結果,震災前は貧しい人々においてのみ,寄付経験が幸福感を高めていたのに対し,震災後は貧しい人々においても豊かな人々においても,寄付経験が幸福感を高めていた.本研究の示唆及び限界点が議論される.
著者
Judith M. van der Voort Lucas C.P.M. Meijs
出版者
日本NPO学会
雑誌
ノンプロフィット・レビュー (ISSN:13464116)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.9-18, 2004 (Released:2005-03-10)
参考文献数
20
被引用文献数
2

To date, there are little or no examples known of real integrative and sustainable partnerships between companies and voluntary organisations in the Netherlands. It is concluded that besides a Direct approach to these partnerships, a unique Dutch or Indirect approach is taken in which local mediators bring companies, voluntary organisations and the local government together. A set of common characteristics regarding partnering perspective, barriers and success factors, is introduced as a basis to interpret and compare both perspectives. It is stated that both a (lacking) definition and (lacking) success factors are at the basis of understanding and overcoming barriers to a partnerships’ evolution.
著者
森 瑞季
出版者
日本NPO学会
雑誌
ノンプロフィット・レビュー (ISSN:13464116)
巻号頁・発行日
pp.NPR-D-17-00008, (Released:2019-09-30)
参考文献数
25

近年,労働統合型社会的企業の研究の気運は高まってきているが,そこで働くスタッフの社会的関係ならびに承認の構造は先行研究をみてもいまだ明らかではない.本研究は,その社会的関係を参与観察から得た情報をもとに分析し,明らかにしようとしたものである.参与観察の結果,スタッフは「共働の論理」と労働者の生活を保障するための「ワーク・ライフ・バランス重視の論理」という二つの論理,また「私的な関係性」と「社会的な関係性」という二つの関係性のもとに,相互に承認しそれにもとづいて社会的関係を構築していることが判明した.とはいえ,これらの論理や関係性は両立しがたい性質を持っている.それでも職場組織が崩壊しないのは,共働のなかで他者への配慮がなされ,そしてそれにもとづく承認という共通した認識が寛容さに基いて暗黙裡に形成されていたからであった.そしてこれらによってできあがった社会的関係はまさに連帯と呼ぶにふさわしいものであった.本研究は,このように承認論の観点から労働統合型社会的企業に関する研究の発展に寄与するものである.
著者
小牧 奈津子
出版者
日本NPO学会
雑誌
ノンプロフィット・レビュー (ISSN:13464116)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.11-22, 2017

<p>本稿では,自殺対策基本法制定以降の政策過程を検討し,そこでNPOが与えた影響を明らかにするとともに,その影響力の源泉の導出を試みた.NPO法人ライフリンク代表の清水康之へのインタビューと,2つの諮問機関での議論の分析から,ライフリンクは,遺族とのつながりを通じて自殺の実態に関する貴重な情報を取得するだけでなく,国会議員とのつながりを構築・強化してきたことが明らかとなった.この国会議員との関係性が,ライフリンクの政策提言の影響力を高める源泉として機能したといえる.ただしNPOが政策過程でそうした大きな影響を及ぼすことには,弊害や危険性を指摘する声も少なくない.実際,本稿からも諮問機関での議論をバイパスし,NPOが政策過程に直接,強い影響を与えている様子が浮き彫りになった.この影響を検証・評価するためには,その後の政策過程を含めて更なる検討を行っていくことが必要であろう.</p>
著者
大木 幸子 星 旦二
出版者
日本NPO学会
雑誌
ノンプロフィット・レビュー (ISSN:13464116)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1+2, pp.25-35, 2006 (Released:2006-12-19)
参考文献数
25

本研究は都市での住民による健康な地域づくり活動を取り上げ,活動を担っている住民のエンパワメントの過程及びコミュニティの生成過程を抽出することを目的とした.その上で健康な地域づくり活動による公共性形成の可能性を考察した.調査協力者は2つのグループのボランティ14人であり,半構造化面接によりデータを収集し,修正版グラウンデッド・セオリーにより分析した.その結果,担い手のエンパワメント過程では〈地域の風景の存在〉,〈内なる対話〉,〈他者との対話〉,〈地域とつながる自己像の獲得〉のカテゴリーが得られた.他方,コミュニティの生成過程として〈他者との対話〉,〈地域のまなざしの醸成〉,〈地域のアクチュアリティの深化〉,〈地域の解決力の形成〉が抽出された.これらの2つの過程は〈他者との対話〉を結節として循環していた.またこのようなエンパワメントされた地域づくり活動は,縁側機能,対話,協働,交流を基軸にして小さな公共性を形成する活動として位置付けられる可能性が示唆された.
著者
申 斗燮
出版者
日本NPO学会
雑誌
ノンプロフィット・レビュー (ISSN:13464116)
巻号頁・発行日
vol.2, no.2, pp.169-176, 2002 (Released:2003-04-23)
参考文献数
20

社会発展のためには,経済だけではなく,文化芸術,社会福祉,教育,宗教,政治などの分野の発展も重要である.韓国におけるNPO団体の活動は,1980年代の後半から始まり,いままで活発に行われてきたが,文化芸術分野においての活動は,他の分野に比べ,遅れてきたといわれている.しかし,90年代の後半からは,文化芸術分野の活動と関連産業にも力が注がれ,急速に発展してきたことがわかる.さらに,今日のように消費者の多様な欲求に応えるためにも,非営利文化芸術団体の活動は非常に重要である. 本研究では,NPOとしての文化芸術団体の活動と財政状況を考察する.特に,NPOの財政状況に大きな影響を与える税制を検討することで,韓国の非営利文化芸術団体の財政状況を論究する.
著者
桜井 政成
出版者
日本NPO学会
雑誌
ノンプロフィット・レビュー (ISSN:13464116)
巻号頁・発行日
vol.2, no.2, pp.111-122, 2002 (Released:2003-04-23)
参考文献数
35
被引用文献数
4

本研究の目的はボランティア活動に参加する人々の参加動機の構造を分析し,その結果の政策的含意について考察することである.京都市域のボランティア287名を対象に調査を行い,参加動機項目を因子分析した結果,7種類のボランティア参加動機因子を抽出した.それぞれ,「自分探し」因子,「利他心」因子,「理念の実現」因子,「自己成長と技術習得・発揮」因子,「レクレーション」因子,「社会適応」因子,「テーマや対象への共感」因子と名付けた.また,得られた参加動機構造モデルの妥当性を検討するために,個人的属性やボランティア活動への参加形態による参加動機構造の差異について分析した.その結果,性別,年齢層,職業,過去の活動経験の有無,活動対象分野,活動歴において類型ごとの差異が見られた.このうち性別と活動歴を除いた分析は,先行研究の結果や経験的な見地から妥当な結果であると言え,従ってモデルの妥当性は確認された.本調査の結果からNPOや政策担当者にとって,ボランティアの受け入れや推進のためにその動機の多様性を理解することは重要であると言える.
著者
田中 弥生 馬場 英朗 渋井 進
出版者
日本NPO学会
雑誌
ノンプロフィット・レビュー (ISSN:13464116)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.111-121, 2010

NPO法人数の財政的な持続性などの経営課題が顕著になっている.しかし,NPOなどの民間非営利組織の財政面に関する分析や評価手法は,1990年代に入ってようやく米国を中心に開発された分野である.また,日本ではデータベースが不在であったために,定量的な分析はほとんどなされてこなかった.そこで本研究では,NPO法人のパネル・データベースを構築し,財務的な評価ツールを開発することによって分析を行ない,NPOの持続性にかかる実態と促進・疎外要因を明らかにしようとした.ここでは,主たる収入要素及び持続性指標間における順位相関を算出した上で,持続性確保に至る道筋を,共分散構造モデルを用いて構築した.その結果,事業収入は収入規模の拡大に寄与するが,財務的持続性の向上にはあまり貢献しないこと,その一方で,寄付や会費などの社会的支援収入は収入規模の拡大には寄与しないが,財務的持続性の向上に貢献することが明らかになった.<br>
著者
澤村 明
出版者
日本NPO学会
雑誌
ノンプロフィット・レビュー (ISSN:13464116)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1+2, pp.37-45, 2006 (Released:2006-12-19)
参考文献数
14

本稿は,日本の経営学界でNPOおよび関連領域がどのように研究されているかについての,2005年までの先行文献のサーベイである.日本国内におけるNPOの経営学的研究の状況は,日本NPO学会を中心に何本かの論文が発表されているものの,あまり盛んとはいえない状況である.ただし,経営学系の大きな学会でもNPOをテーマとしたワークショップが開催されるほか,数点の論考も発表されており,決して無視されている状況ではない.注目すべき論者が数人登場しており,今後の展開が期待される.
著者
馬場 英朗 BABA Hideaki
出版者
日本NPO学会
巻号頁・発行日
2005-12

(C)日本NPO学会:このデータは、日本NPO学会から許諾を得て、J-stageから引用しています。Original text is available at : https://www.jstage.jst.go.jp/article/janpora/5/2/5_2_81/_article/-char/ja/
著者
馬場 英朗
出版者
日本NPO学会
雑誌
ノンプロフィット・レビュー (ISSN:13464116)
巻号頁・発行日
vol.7, no.2, pp.83-95, 2007 (Released:2008-04-04)
参考文献数
34
被引用文献数
1

NPOと行政の協働が叫ばれる状況下,NPOへの委託事業が増加しているが,十分な対価が確保されず,NPOが安価な下請先とされる懸念もある.この点,NPOと行政の協働が進むイギリスでは,フルコスト・リカバリーの考え方を示し,直接費だけでなく,間接費も含めた全てのコストをNPOが回収するように提言している.本稿では,イギリス及び「NPOと行政の協働に関する実務者会議」(愛知県)の議論を参考に,NPOが回収すべきフルコストの範囲を検討し,愛知県下3例の協働事業についてフルコストの試算を行った.その結果,行政による積算はフルコストの5割から7割しかカバーしておらず,事業内容に見合った人件費単価が設定されていない,事業に必要な経費が漏れなく計上されていない,団体を維持するために不可欠な間接費が見込まれていない,という問題点が明らかになった.ただし,NPO側にも,本当に必要な人件費や間接費の水準を示すことができていないという問題がある.
著者
相藤 巨
出版者
日本NPO学会
雑誌
ノンプロフィット・レビュー (ISSN:13464116)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.45-53, 2015 (Released:2016-03-04)
参考文献数
11

本稿は,NPOに派遣された行政職員が,その派遣期間終了後に自らが所属している組織に対して,どのような手法で行政組織に協働の本質を伝えようとしたかについて,実例を交えて考察を行ったものである.派遣職員は行政組織へ戻った後,NPO及び協働への理解を広めるために様々な施策を展開し,NPOと行政それぞれがお互いの組織に対して抱いていた固定観念とでも言うべきものに対して,ある種の変化をもたらしたことが確認された.NPOへの派遣効果は,派遣された職員「個人」においては想定以上の効果があり,その個人が所属する行政組織内部における「集団」に対しても,一定の効果を確認することができたものである.今後は,職員「個人」としての変化をいかに「集団」を超えた「組織」としての変化に結びつけ,かつ,変化の永続性を担保していくのかに関する検証が,今後の研究における課題になると考えている.
著者
小川 大和
出版者
日本NPO学会
雑誌
ノンプロフィット・レビュー (ISSN:13464116)
巻号頁・発行日
pp.NPR-D-18-00006, (Released:2019-09-30)
参考文献数
23

協働における対等性は,和洋問わず,その基本理念・規範として謳われていることが多い.他方,実態としてそれは必ずしも確保されていないとの主張は多い.それでは,行政と市民セクターを対等に近づけるにはどうすればよいか.本論文では,協働における対等性に影響を与える要因に関する理論的モデルを提示した上で,無作為抽出した359の地方自治体の市民活動担当部署にアンケート調査を実施し,この問いに対して統計的に検証する.統計分析の結果,2007年との比較で両者の影響力の差は縮小傾向にあるものの,未だ両者を対等と言うことは難しいこと,そして,両者を対等に近づけるためには,行政は,①協働に関する条例を制定し,かつ,その中で対等性に言及すること,②市民セクターと頻繁に接触し,また,その信頼性を認識して,信頼関係を構築すること,③市民セクターとの協働の経験を蓄積すること,④両者の間で役割分担等を明確にしたパートナーシップ協定を締結しておくこと,⑤市民セクターがその得意分野を発揮することにより,両者の関係を対等に近づけていくことは可能であることが示唆された.
著者
永冨 聡 石田 祐 小藪 明生 稲葉 陽二
出版者
日本NPO学会
雑誌
ノンプロフィット・レビュー (ISSN:13464116)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.11-20, 2011 (Released:2011-12-20)
参考文献数
34
被引用文献数
2

これまでに個人の社会経済的属性と社会活動参加の関係,もしくは地域集団そのものの研究がなされてきたが,他者との対面でのつながりと社会活動参加の関係については必ずしも十分に明らかにされてこなかった.そこで本稿では,個人の生活空間における他者との対面でのつきあいが,地縁的な活動への参加に与える影響について定量的な分析から検討を行うこととした.全国を対象としたアンケート調査データを用い,ロジット・モデルによる推定を行った.その結果,次の2点が示唆された.一つは,地縁的な活動への参加には近所づきあいだけでなく,親戚・親類づきあい,スポーツ・趣味・娯楽活動を通じたつきあいの活発さが影響を与えている可能性があること,もう一つは,地縁的な活動への参加の影響要因と同様の対面づきあい要素が,ボランティア・NPO活動への参加の促進に対しても正の有意性を持つ可能性があることが示唆された.これらを踏まえると,今後は地縁的な活動,ボランティア・NPO活動への参加を一体的に高める取り組みの方向性を模索し,その制度化や具体化を進めていくことが一つの方向として望まれよう.
著者
野口 寛樹
出版者
日本NPO学会
雑誌
ノンプロフィット・レビュー (ISSN:13464116)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.21-33, 2012 (Released:2013-04-06)
参考文献数
24

NPOにおいてミッションはその根幹にあり,組織が存在する理由である.よってNPOにおいてミッションを知ることは重要となる.またミッションを語る上で,多くの質的研究が積み重ねられて生きた反面,実際にNPOで使われている言葉を使用した量的研究は散見した限り少ない.本稿の目的は探索的定量研究に基づきNPOにおけるミッションの全体像を描写することにある.本研究では京都府認証NPO法人を中心に(2009年11月時点,N=1036,解散を含む),その定款から目的の項にある文を抽出し,ミッションマネジメントの概念を中心にテキストマイニング,ネットワーク分析を行っている.抽出された頻出語の傾向から,仮説構築的にミッションが抽象化しすぎることの問題,またミッションにおける同型化の議論,そして他分野間における協働可能性の指摘を行った.本研究が量的研究の方法論,議論の更なる深化のための一つの嚆矢となることを願う.