著者
ポドリヤク ナタリヤ 許 莉芬 大西 良 辻丸 秀策
出版者
久留米大学
雑誌
久留米大学文学部紀要. 社会福祉学科編 (ISSN:13455842)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.81-88, 2007-03

日本では障害の有無にかかわらず,すべての国民が誰でもその能力を最大限発揮しながら安全にそして安心して,心豊かな生活ができるように,ソフトおよびハード両面にわたり,社会的バリアフリーを推進している.法律では,「障害を理由とする差別禁止」を定め,あらゆる障害について理解して日常生活や事業生活の中で配慮や工夫をすることを呼びかけている.ところが,実際には,社会的バリアフリーについて十分な理解や認識がなされているとは言い難く,障害者専用の駐車場の不正使用に関する苦情はむしろ増えている現状がある.そこで,本研究では,障害者用の駐車場の利用実態を明らかにして,具体的な対応策について検討すること目的とした.調査の結果,以下の点を明らかにした.(1)障害者用駐車場の平均利用時間は,15.39±13.34分であった.(2)利用者の特徴として,50歳代男性の健常者の利用が最も多かった.(3)利用していた車両の約9割に「車椅子マーク」および「駐車許可書」の提示がなかった.(4)高齢者の利用が4割を超え,障害者の利用は2割程度であった.