著者
神田 学 森脇 亮 鈴木 譲 マティアス ロート ティム オーク
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
天気 (ISSN:05460921)
巻号頁・発行日
vol.47, no.7, pp.493-501, 2000-07-31
被引用文献数
5

地表面被覆の幾何構造が異なる世田谷・銀座・バンクーバーの3都市のコンスタントフラックス層において超音波風速温度計によって計測された乱流データに基づき, それらの乱流統計量に関して考察がなされた.草原上の観察から得られた既存の相似関数と比較検討し, 以下の結果を得た.(1)運動量に対する熱の鉛直輸送効率を表すそれぞれの乱流相関係数の比は, 大気安定度パラメーターに対して3都市ともほぼ同一の関数で表現されるが, 草原上で得られた既存の相似関数と比べて全般に値が小さい.都市では建物のWake効果あるいは熱源の空間的非均一性により, 運動量の熱に対する相対的な交換効率が草原上よりも高いことが示唆された.(2)主流方向風速の標準偏差, 温度の標準偏差, 乱流運動エネルギー散逸率, および温度分散の散逸率の4つの無次元乱流統計量について, 本論で対象とした都市のコンスタントフラックス層で成立する相似関数式が試算された.