著者
Ryabko Boris 鈴木 譲
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IT, 情報理論 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.100, no.241, pp.13-18, 2000-07-21

KiefferらのMPM(multilevel pattern matching)とLZ(Lempel-ZivLZ)77の漸近的な性能の比較を試みた。定常エルゴード情報源を仮定すると、MPMは冗長度も小さいし、実データに対しての実験でも、CTWやLZと比較してかなり効率がよいことが示されている。本研究では、情報源の仮定を一切排除し、実際にどれだけ多くの系列に対してよく圧縮できているかを評価してみた。
著者
四方 順司 鈴木 譲 今井 秀樹
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ISEC, 情報セキュリティ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.99, no.329, pp.9-15, 1999-09-24

量子計算の分野において最も衝撃的だったのは、1994年のShorによる素因数分解問題、及び有限体上の離散対数問題が多項式時間で解けるという結果であった。ここで、我々は、はたしてShorのアルゴリズムが楕円曲線上の離散対数問題にもそのまま適用できるのかという問題を考えてみる。本論文では、実際に楕円曲線上の離散対数問題に対するShorのアルゴリズムを明確に記述することで、難なく適用できることを確認する。更に、Shorのアルゴリズム以外に、Kitaevのアルゴリズムを用いることでも楕円曲線上の離散対数問題を多項式時間で解くことが可能である。従って、楕円曲線上の離散対数問題に対するKitaevのアルゴリズムを考察することも本稿の目的としている。
著者
鈴木 譲
出版者
Japan Health Physics Society
雑誌
保健物理 (ISSN:03676110)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.134-137, 1994 (Released:2010-02-25)
参考文献数
21
著者
鈴木 譲 菊池 潔 末武 弘章
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2008

全ゲノムが解読された最初の食用魚であるトラフグを用いて,有用形質を支配する遺伝子の特定めざした.トラフグとクサフグなどの種間交雑を進めて解析することにより,体サイズ,脊椎骨数,鱗の有無,寄生虫耐性,警戒心の強さ,淡水適応能力に関する遺伝子の染色体上の位置が特定され,ゲノム情報に基づく優良個体選抜育種への道筋をつけることができた.また,性決定遺伝子の特定に成功し,雄の価値が高いこの魚における性制御技術の開発に成功した.
著者
鈴木 譲
出版者
数理社会学会
雑誌
理論と方法 (ISSN:09131442)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.331-344, 2000-10-30 (Released:2016-09-30)
参考文献数
15

本稿では、これまで主に哲学者、論理学者の間で議論されて来たニューコーム問題を数理社会学の観点から論ずる。ニューコーム問題とは、予言者の存在を仮定したパラドックス的設定の下での意思決定の問題である。予言者の能力によってこの問題の性質は大きく異なるが、本稿ではいわゆる予言者の完全性を仮定した場合に議論を限定し、この問題を2つの観点から論じる。第一は数理論理的な観点、特に公理系の無矛盾性の観点である。結論としては、ニューコーム問題は合理的意思決定の問題としてはそもそも決定不可能な命題であり、因果律の方向が本質的に重要であることを示す。因果律はその方向に応じて、順因果律と逆因果律の2種類を考えることが出来る。第二は社会学的観点であり、前述の数理論理的観点から得られた定式化を社会現象に応用することを試みる。この応用の具体例として、Weberのプロテスタンティズムの倫理のフォーマライゼーションを行い、カルヴィニズムにおける信徒の意思決定が逆因果律の論理に対応していることを示す。
著者
古市 尚高 鈴木 譲一
出版者
日本植物病理学会
雑誌
日本植物病理学会報
巻号頁・発行日
vol.56, no.4, pp.457-467, 1990
被引用文献数
1

ジャガイモ疫病菌の過敏感反応サプレッサー(抑制因子)を2種類の異なったレースより抽出し,HPLC(高速液体クロマトグラフィー)により精製した。サプレッサー活性をもつ分画は,親和性菌,非親和性菌ともに分子量(<i>Mr</i>) 4,700と280の成分であった。これらの成分をジャガイモスライス切片(直径,14mm)に滴下処理したあと,非親和性菌遊走子を接種して,ファイトアレキシン(PA)生成をマーカーとして活性の強さを調べた。HPLCにより純化する前のグルカン成分と,両レースの<i>Mr</i> 4,700と<i>Mr</i> 280のサプレッサー分画は,12.5&sim;50&mu;g/diskの濃度ではレース間で統計的に有意の差は示さなかった。以上の結果から,疫病菌の分子量の異なった本グルカン2成分が,レースにかかわりなくサプレッサー活性を有することが示唆された。標準糖と本サプレッサー成分のTLCによる解析の結果,<i>Mr</i> 280の成分はグルコースモノマーと<i>Rf</i>値が近似した。また,HPLCにより遊走子発芽液中にMr 280の成分が検出されることから,感染初期の過程において機能している可能性が示唆された。
著者
若槻泰雄 鈴木譲二著
出版者
福村出版
巻号頁・発行日
1975
著者
鈴木 譲
出版者
東京大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2010

感染の場であり,防御の最前線となる粘膜組織には,腸管におけるパイエル板のような特殊なリンパ組織の存在が哺乳類では知られているが,魚類では明確ではない.そうした中で,魚の鯛にリンパ球集塊が存在することを見出した.この組織がリンパ器官としての機能を持つのではないかとの仮説を立て,その検証を進めた.組織学的な観察によりリンパ球集塊の表皮内に存在することが明確になったことから,トラフグ上皮間隙白血球の単離を行った.メイギムザ染色観察の結果,リンパ球が多数を占め,次いでマクロファージ,そして少数の好中球,好塩基球が認められた.さらに,哺乳類の粘膜リンパ組織で抗原の取り込みに重要な働きをするM細胞をUEA-1染色により探索した.しかし、鰓のリンパ球集塊近傍のUEA-1陽性細胞は形態的には塩類細胞であった。魚類ではM細胞は存在しない、あるいは同じ系統の細胞が哺乳類とは異なる機能を持っているものと考えられる.鰓におけるRT-PCRの結果,B細胞のマーカーであるIgM,IgT,ヘルパーT細胞のCD4,細胞障害性T細胞のCD8の発現が認められたが,In situ Hybridizationの結果,IgT陽性細胞はリンパ球集塊に特に多く蓄積しており、防御の最前線である末梢でその役割を果たしているものと推測された.一方,IgM,CD4,CD8陽性の細胞は比較的少数であり,哺乳類腸管に見られる胸腺外T細胞分化を示す材料は認められなかった.組織特異的に発現するケモカインが,それぞれの部位に必要な白血球を誘導することが哺乳類では知られている.トラフグのケモカインを明らかにし,鰓で発現する種類から機能の推定を試みた.7種類のCCケモカインの発現をトラフグで調べたところいずれも鰓での発現が認められ,鰓のリンパ球集塊とヒトの各リンパ組織との相同性を類推することはできなかった.しかし、このように多くのケモカインが発現していることから,鰓が免疫系において重要な役割を担っているものと推測された。
著者
神田 学 森脇 亮 鈴木 譲 マティアス ロート ティム オーク
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
天気 (ISSN:05460921)
巻号頁・発行日
vol.47, no.7, pp.493-501, 2000-07-31
被引用文献数
5

地表面被覆の幾何構造が異なる世田谷・銀座・バンクーバーの3都市のコンスタントフラックス層において超音波風速温度計によって計測された乱流データに基づき, それらの乱流統計量に関して考察がなされた.草原上の観察から得られた既存の相似関数と比較検討し, 以下の結果を得た.(1)運動量に対する熱の鉛直輸送効率を表すそれぞれの乱流相関係数の比は, 大気安定度パラメーターに対して3都市ともほぼ同一の関数で表現されるが, 草原上で得られた既存の相似関数と比べて全般に値が小さい.都市では建物のWake効果あるいは熱源の空間的非均一性により, 運動量の熱に対する相対的な交換効率が草原上よりも高いことが示唆された.(2)主流方向風速の標準偏差, 温度の標準偏差, 乱流運動エネルギー散逸率, および温度分散の散逸率の4つの無次元乱流統計量について, 本論で対象とした都市のコンスタントフラックス層で成立する相似関数式が試算された.
著者
神田 学 森脇 亮 鈴木 譲 ロート マティアス オーク ティム
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
天気 (ISSN:05460921)
巻号頁・発行日
vol.47, no.6, pp.453-462, 2000-06-30
被引用文献数
7

密集低層住宅街(世田谷)の接地境界層において, 渦相関法とシンチロメーター法を併用した乱流フラックス観測を行い, 以下の結論を得た.(1)世田谷住宅街における放射収支・熱収支解析データを提示し, その特徴を示した.(2)2高度におけるシンチロメーター計測により, 顕熱と同時にゼロ面変位を推定する手法を提案した.推定されたゼロ面変位は, 平均的にはMacDonald et al.(1998)の形態学的手法から算定された値とほぼ一致した.また, ゼロ面変位が大気安定度に依存することを指摘した.(3)渦相関法とシンチロメーター法の比較により乱流フラックスの空間代表性が検討された.シンチロメーター法のソースエリアは渦相関法のそれに対して, 不安定時で2〜3倍の広さを持つ.30分平均値での顕熱は両手法で有意な差がない.顕熱の標準偏差は大気安定度に関わらずシンチロメーター法の値が小さい.これは計測スパンの長いシンチロメーター法における渦の空間積分効果であると考えられる.