著者
守山 正樹 竹本 泰一郎 柏崎 浩 鈴木 継美 マリーナ ロバートM.
出版者
The Anthropological Society of Nippon
雑誌
人類學雜誌 (ISSN:00035505)
巻号頁・発行日
vol.93, no.1, pp.33-43, 1985 (Released:2008-02-26)
参考文献数
26
被引用文献数
1 1

初経発来への年齢,身長,体重の寄与を,1960-64年に出生の女子生徒275名で調査した。初経時の年齢,身長,体重の平均値はそれぞれ12.5 SD 0.89年,151.1 SD 5.7cm,42.3 SD5.8kg であった。初経時年齢と身長は有意な正の相関(r=0.406)を示し,「初経時年齢群別の平均身長は一定値をとる」とした松林(1932)の報告は支持されなかった。初経時年齢と体重の間には関連がないが (r=0.104),初経時の体重は身長よりもはるかに大きな変動を示し,「特定の体重,体構成への到達が引き金となって初経が起こる」とした Frisch と Revelle(1971)の仮説も支持されなかった。さらに,各暦年齢時での初経の有無(1/0)を被説明変数,身長•体重を説明変数として重回帰分析を行なったところ,体重のみが有意な寄与を示した。この結果より,初経発来にかかわる体格の閾値の存在が示唆された。