- 著者
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漆原 和子
喜納 宏之
新垣 和夫
佐々木 正和
ミオトケ フランツ-ディーター
- 出版者
- 駒澤大学
- 雑誌
- 駒澤地理 (ISSN:0454241X)
- 巻号頁・発行日
- vol.33, pp.33-47, 1997-03
日本における石灰岩片の溶食率の地域差,経年変化を知るために北海道から南大東島まで7地点において,その測定を行った。この報告は,南大東島における溶食率の経年変化と,土壌中のCO_2濃度の経年変化について考察を試みたものである。1年ごとの溶食率は降水量の大な1993年に最大であった。一方,1994年は夏高温で水不足量(WD)が大であったが,水過剰量(WS)も大で溶食率は小さくなった。しかし1995年は,年降水量が少なく,かつ水不足量が大であり,空中,A_3層位,B_2層位ともに溶食率は最小であった。WDが少ない1993年には土壌中のCO_2濃度は高く,B_2層位の石灰岩片の溶食率も大であった。1994年には土壌中のCO_2濃度は低く,B_2層位の溶食率も低い。WDが大きく土壌が乾燥した1995年にはA_3,B_2層位ともに溶食率も最小であった。CO_2濃度の変化は1993年の一雨ごとの観測結果から,一定量を越える雨の後3〜4日で極大を示し,乾燥した時期が長びくと,CO_2濃度は低下することがわかった。土壌中の湿度は,有機物の分解を促進し,バクテリアの活動,根の活動を活発化させることに大きく寄与していると思われる。一方,畑の耕運による作土の孔隙率が大きいときには,生産されたCO_2は空中に放出されていて,Ap層位ではCO_2濃度は低い。