著者
麻田 豊 藤井 毅 石田 英明 ムイーヌッディーン アキール 萩田 博 粟屋 利江 AQEEL Moinuddin ムイーヌッディーン アオール ムイーヌッディーン アキ アキール ムイーヌッディ
出版者
東京外国語大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1997

1.南アジア近代諸語文献の所蔵調査を行う目的で、初年度の平成9年度においては、ヨーロッパ大陸では特にロシアとフランスに的を絞り、サンクトペテルブルグの東洋学研究所とパリの国立図書館において予備調査を行った。イギリスではロンドンの東洋学・旧インド省コレクション(OIOC)とロンドン大学東洋アフリカ研究学院(SOAS)をはじめ、マンチェスター、エディンバラの図書館、また、インド・パキスタンでは各都市の文書館を精力的に訪問し、各言語による中世の写本や19世紀の刊本の文献所在調査・検索調査を遂行した。2.2年度目の平成10年度は、前年度のロシアとロンドンのOIOCとSOASにおいて重点的に文献所蔵調査を実行するとともに、ドイツとチェコにまで調査範囲を広げることができた。特に、ドイツではこれまで知り得なかった、写本に関する有益な知見を得ることができた。3.最終年度の平成11年度は、ヨーロッパではスペインとオランダ・ドイツを中心に調査を行った。インド・パキスタンにおいては、大都市の機関や図書館のみならず、これまで未訪問でありその所蔵状況が判明していなかった大小さまざまの図書館や文書館をできるだけ多く訪問した。また、各地のイスラーム聖者廟やモスクに附属する図書館および旧藩王国の図書室にまで調査範囲を拡大した。各年度において、最も基礎的な資料でありながらこれまで収集を怠ってきた各言語の写本・刊本目録の収集に力を注いだ。4.3年間の海外調査では、特にインド・イスラーム関係(ウルドゥー語・ペルシア語・アラビア語による)の写本目録類をかなりの量、収集することを大きな目的とした。これら写本目録は通常の図書流通ルートにのらないため入手が極めて困難であり、発行元の図書館をひとつひとつ訪問して収集することは今回のようなプロジェクトが組織されて初めて可能になったといえる。収集された目録類は量的にも我が国最大のコレクションであろう。ほかに、マラーティー語・パンジャービー語・マラヤーラム語の写本・刊本に関するかなり密度の高い所蔵情報が得られた。これらは分冊1の報告書として、また個別テーマ書誌として、カースト族諸関係およびインドの言語問題関係の文献目録を分冊2の報告書としてまとめることができた。