著者
山口 二郎 杉田 敦 遠藤 乾 空井 護 吉田 徹 渡辺 将人 木宮 正史 川島 真 遠藤 誠治 高安 健将 村上 信一郎 宮本 太郎 小川 有美 中北 浩爾 水野 和夫
出版者
法政大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2012-04-01

20世紀後半に民主主義国で確立された二大政党制、二極的政党システムにおける政権交代というモデルは、1980年代の新保守主義的政治、1990年代後半の中道左派の復活までは、順調に作動し、民意の吸収と政策転換という効果をもたらした。しかし、2000年代に入って、経済のグローバル化の一層の進展と、雇用の不安定化や格差の拡大は政治的安定の基盤をなした経済的安定を侵食した。その結果、政権交代に対する国民の期待が低下し、ポピュリズムが現れた。こうした危機を打開するためには、従来の左右を超えた政党再編が必要とされている。
著者
津島 昌弘 浜井 浩一 津富 宏 辰野 文理 新 恵里 上田 光明 我藤 諭 古川原 明子 平山 真理
出版者
龍谷大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2015-04-01

EUの女性に対する暴力被害調査を踏襲した本調査は、近畿圏在住の女性を対象に、2016年に実施された。重大な発見は、日本では、加害者が非パートナーの場合、一定程度の女性が被害を警察に通報しているが、加害者がパートナーの場合、警察に通報した女性は皆無であった(EUでは加害者がパートナーと非パートナーとでほとんど差がない)ことである。これは、日本では、DVや親密圏で起こった暴力は表面化しにくいことを示唆している。家族や地域が弱体化するなか、親密圏で起きた当事者間の紛争解決において、公的機関の介入が不可避となっている。近隣の人が異変を見つけたなら、警察や支援団体に相談することが重要である。
著者
廣田 照幸 森 直人 寺脇 研 二宮 祐 丸山 和昭 冨士原 雅弘 小野 方資 末冨 芳 佐久間 亜紀 徳久 恭子 荒井 英治郎 布村 育子 植上 一希 筒井 美紀
出版者
日本大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2016-04-01

1、関連文献・史資料の収集・吟味:日教組の運動の範囲が多岐にわたるため、大学院生や学部生にアルバイトとして利用しながら、7つの作業グループのそれぞれの主題に沿った関連文献・史資料の収集・吟味を体系的に行った。2、日教組所蔵史料の検討と整理:研究の基礎史料を利用可能な状態にしていくため、平成29年度は過去のプロジェクトにおいてデジタル化した資料を再整理しつつ、新たに当面の研究に必要な史料を選定してデジタル化作業を行った。教育制度検討委員会(第一次・第二次)関係及び1950年代後半期の中央執行委員会プリントなどを対象にした。単組史料も部分的に行った。3、1954年の中央執行委員会の議事録に綴じ込まれた中根式速記の史料を発掘してデジタル化を行うとともに、速記解読者に依頼して、解読可能性について検討をしてもらった。4、聞き取り調査:日教組OB及び文部省OBに対し手の聞き取り調査をおこなった。記録はテープ起こしと編集作業を行い、ご本人の確認を経て、聞き取り資料として確定させた。5、全体会合:全員が集まる研究会を定期的に開催し、本研究課題に関連する分野の専門家をゲスト・スピーカーとして招聘してレクチャーを受けながら、7つの作業グループから、順次、研究報告をしてもらった。また、全体会では、研究全体の進め方について協議を行った。6、チーム会合・グループ会合:2つのチーム、7つのグループごとに、定期的な会合をもち、具体的な課題に向けた研究を進めた。7、学会発表:日本教育学会、教育史学会などにおいて研究成果の報告を行った。学会発表をふまえて、論文化に向けた打ち合わせも行っている。また、学会誌等に載りにくい主題の論考等を集めて、第一次報告書を編集・印刷した。
著者
廣田 照幸 佐久間 亜紀 筒井 美紀 徳久 恭子 荒井 英治郎 植上 一希 末冨 芳 布村 育子 森 直人 小野 方資 宇内 一文 丸山 和昭 冨士原 雅弘 長嶺 宏作 古賀 徹 岩田 考 太田 拓紀 清水 唯一朗 二宮 祐 冨士原 雅弘 佐藤 晋平 田中 真秀 金子 良事 長嶺 宏作 香川 七海 中嶋 亮太 高木 加奈絵
出版者
日本大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究の成果として、a)初期教育研究大会の成立と講師団選出過程、b)日教組結成から1950年までの法的な位置づけと政治的な立ち位置の変容、c)「教え子を戦場に送るな」のスローガンの成立過程、d)人材確保法の成立過程、e)日教組におけるストライキ批准体制の確立、f)1973年春闘におけるストライキ戦術と交渉の解明、g)連合加入をめぐる400日抗争の解明、h)1995年の文部省と日教組の和解のプロセス、i)国際労働運動における日教組の位置を明らかにした。以上の点から、労働運動体と教育運動体としての日教組との二重性をふまえ、日教組の多面的な運動、それぞれに与えた影響を実証的に明らかにした。
著者
釜野 さおり 山内 昌和 千年 よしみ 布施 香奈 小山 泰代 平森 大規 岩本 健良 藤井 ひろみ 申 知燕 三部 倫子 武内 今日子 石田 仁
出版者
国立社会保障・人口問題研究所
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2021-04-05

性的マイノリティは学術的にも社会的にも注目されているが、現状把握に必要な全国を統計的に代表するデータはない。本研究では日本全体に一般化できるデータに基づいて、経済状況、健康状態、出生や移動などの人口学的行動や意識が、性的マイノリティ当事者と非当事者との間でどのように異なるのかを、統計的な裏付けにより明らかにすることを目指す。一般人口対象の無作為抽出による全国調査を実施し、性的指向および性自認のあり方(SOGI)が生活に及ぼす影響を定量的に示す。SOGIに関する調査で普及しているモニタ型ウェブ調査を実施し、無作為抽出調査の結果と比較する。SOGIを捉える設問を精緻化させ、ガイドラインを確立する。
著者
大沢 真理 シャイア カレン マルガリータ エステベス=アベ 阿部 彩 金 英
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2013-10-21

日本の生活保障システムは、先進諸国の中で最も強固な「男性稼ぎ主」型であり、政府の所得再分配が貧困を削減する効果が、就業者の多い世帯や子どもにとってきわめて弱く、効果がマイナスである場合も少なくない。労働力人口の減少が憂慮される社会としてきわめて非効率で不合理なシステムであること、しかし所得再分配の効率性を高めれば、税・社会保障負担を増すことなく国民の生活を改善できることも、明らかになった。2014年2月には福井県において社会的排除に関するアンケート調査を実施した。働き者の福井の女性が、より働きがいを感じ、地域活動にも参加する条件について示唆を得られた。
著者
新井 紀子 影浦 峡 菅原 真悟 松崎 拓也 犬塚 美輪 尾崎 幸謙 登藤 直弥 藤田 彬
出版者
国立情報学研究所
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2016-04-01

科目や分野によらない汎用的な読解力を短時間かつ高い精度で推定するリーディングスキルテストについて引き続き研究開発を続けている。リーディングスキルテストβ版については、そのアイデア等を論文や口頭発表、書籍等で公開した上で、一般社団法人「教育のための科学研究所」に移転し、リーディングスキルテストとして社会実装された。令和元年度末までで(リーディングスキルテストβ版と合わせて)のべ20万人以上が本テストを受検した。これまでの知見を2冊の書籍として出版した。少ないサンプルで問題の難易度を推定する方法や、より少ない問題数で高い精度で汎用的読解力を推定する方法等について、テスト理論の観点から尾崎・登藤らが検討を行った。板橋区および戸田市と連携し、汎用的読解力を児童・生徒に身に着けさせるための授業や学習支援についての検討を行っている。特に板橋区においては、「読み解く力の育成」として、板橋第一中学校に入学する小学校を含めた「学びのエリア」を指定し、その中で、学年進行に応じて、どのような汎用的読解力をどのような授業や支援で身に着けさせるかについての検討を行っている。板橋区と連携して行った研究授業および研究会は計5回である。加えて、検定教科書に関する計量国語学的観点からの分析を進め、小学校と中学校の教科書において記述方法にこれまで発見されていなかった量的なギャップがあることを発見し、査読付き論文および国際会議プロシーディングスで発表した。
著者
平田 オリザ 石黒 浩 橋本 慎吾 吉川 雄一郎 宮下 敬宏
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2011-04-01

本研究では,現代口語演劇理論に基づき,人間型ロボットやアンドロイド(人間と同じ見かけを持つロボット)を人間の俳優とともに役者として演劇に登場させる「ロボット演劇」の創作を通じ,特定のシーンにおいてロボットが人と関わる振舞を実現する枠組みを構築した.期間内に国内26件,国外31件(15カ国)の公演を成功させ,聴衆を対象とした大規模かつ文化比較的なアンケート調査により,提案する枠組みにより親和的なロボットの振舞が実現できることを確かめた.また実現された演出事例の分析から,ロボットの振舞のルールが抽出できることを示し,その効果を確かめた.
著者
篠田 謙一 井ノ上 逸朗 飯塚 勝 斎藤 成也 富崎 松代 安達 登 神澤 秀明
出版者
独立行政法人国立科学博物館
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究では縄文人骨43体、弥生人骨4体の合計47体のゲノム解析を行った。ミトコンドリアDNAの全配列を使った系統解析から、縄文人は遺伝的に均一な集団ではなく、地域による違いがあることが判明した。また、弥生人の遺伝的多様性は従来考えられていたより大きなものだった。そして渡来系弥生人もすでに在来の縄文人と混血していることも明らかとなった。これらの事実は従来の日本人起源論を再考する必要があることを示唆している。
著者
田口 茂 吉田 正俊 西郷 甲矢人 宮園 健吾 谷 淳 田中 彰吾 山下 祐一 西尾 慶之 武内 大 富山 豊
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2020-04-01

「意識とは何か」という問題は、現代において哲学と科学と医療にまたがる大問題である。本研究の目的は、この大問題に、以下の三つの方法を組み合わせてアプローチすることである。①第一に、「現象学」を一つの理論的な核として、哲学・精神医学・神経科学・ロボティクス・数学の密接な学際的共同研究を行う。②第二に、「意識変容」という正常な意識状態からの逸脱に焦点を当て、変容した意識と正常な意識とを対比することにより、意識の本質的特性に迫る。③第三に、「圏論」という数学的理論を用いて、上述の諸研究から浮かび上がる関係論的構造を分析する。これにより、意識研究を一段新しい次元にもたらす新たな理論的枠組みを提起する。
著者
中島 利博 山野 嘉久 八木下 尚子 樋口 逸郎 赤津 裕康 川原 幸一 上 昌広 丸山 征郎 岡田 秀親 荒谷 聡子
出版者
東京医科大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2008

われわれがリウマチ滑膜細胞より発見した小胞体関連E3ユビキチンリガーゼ シノビオリンは遺伝子改変動物を用いた研究により、少なくともマウスにおいては関節症発症の必要十分因子であることが証明されていた。また、関節リウマチの新薬である抗TNFα製剤の感受性を決定するバイオマーカーの可能性も示されている。一方で、シノビオリンの完全欠損マウスは胎生期において致死であることも明らかとなっていた。したがって、これまで成獣における同分子の生理機能の解析、並びに関節症における分子病態を明らかとすることが不可能であった。そこで、本研究事業により、同分子のコンディショナルノックアウトマウスを作製し、これらの点を明らかにすることを目的とした。その結果、シノビオリンのコンディショナルノックアウトマウスは胎生致死でのみならず、出生後に同遺伝子をノックアウトした場合でも致死であることを発見した。さらに、その過程で線維化・慢性炎症に非常に密接に関与することが示されている(論文準備中)。現在、その恒常性維持にシノビオリンが必要と考えられる関節などの臓器特異的なコンディショナルノックアウトマウスの解析を行っている。上記のようにシノビオリンの機能制御は関節リウマチのみならず、線維化・慢性炎症を基盤とする疾患の創薬標的であることは明白であろう。われわれの有するシノビオリン抑制剤がマウスにおける関節炎モデルに有効であることを証明した(論文投稿中)。さらに、本テーマは橋渡し研究として米国のユビキチンに特化した創薬系ベンチャー プロジェンラ社との創薬開発プロジェクトへと進展した。
著者
鑪迫 典久 寺崎 正紀 山岸 隆博 堀江 好文 山室 真澄 石橋 弘志 山本 裕史
出版者
愛媛大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2019-04-01

化学物質の新たな存在形態となりうる、マイクロカプセルを介した化学物質の環境中動態、野生生物の蓄積および生態影響について明らかにする。マイクロカプセルとは、芯材に様々な化学物質を封入した微細な粒子状物質を指す。カプセルに封入された化学物質は、化学物質本来の化学構造から推定される環境動態とは異なる動きを示す。よってその動態解明は新たな研究分野として重要である。本研究ではマイクロカプセルの水環境中での拡散・環境動態および水生生物に与える影響を明らかにし、さらに揮発性・難水溶性の化学物質を内包したマイクロカプセルを合成し、カプセル化した場合としない場合とでの生物影響の差を調べる。
著者
津崎 実 入野 俊夫 堀川 順生 宮崎 謙一 牧 勝弘 竹島 千尋 大串 健吾 加藤 宏明 倉片 憲治 松井 淑恵
出版者
京都市立芸術大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2012-05-31

本研究は加齢による「聴力」の変化について知覚・生理現象観察と計算モデルを構築を目的とした。従来ほとんど関心を集めていなかった加齢性ピッチ・シフト現象について,十分な数の幅広い年齢層の聴取者を用いて,その現象が確実に生じることを突きとめ,さらに同じ聴取者に対する聴力検査,耳音響放射検査,脳波の周波数追随反応との相関分析を実施した。並行実施した非線形圧縮特性,聴神経の位相固定性などへの加齢による変容の基礎検討を通して,ピッチ・シフトはこれらの要因の変容によっては説明困難であること示し,新規の聴覚モデルの提案に至った。
著者
近藤 二郎 前川 佳文 馬場 悠男 中井 泉
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2015-04-01

エジプト、ルクソール西岸アル=コーカ地区で、平成29年12月~平成30年1月に、さらに平成30年3月の2回にわたり調査を実施することができたことで、前年度同様、研究を進展することができた。当該地区には、第18王朝アメンヘテプ3世治世末期の高官ウセルハトの墓(TT47)の大規模な前庭部を中心として、数多くの岩窟墓が存在している。しかしながら厚い堆積砂礫に覆われていたため、未発見の岩窟墓が存在していることが想定された。これまでの調査によって、ウセルハト墓の前庭部の南側からKHT01とKHT02(コンスウエムヘブ墓)が、そして前庭部北東部からKHT03(コンスウ墓)の3基の岩窟墓を新たに発見することができ、従来の当該地区における岩窟墓の立地に関して新知見を売ることができた。平成29年度の調査によって、さらにKHT02(コンスウエムヘブ墓)前庭部の南側とTT47(ウセルハト墓)の前室南側上部の2か所において、新たな岩窟墓の存在を確信する箇所を確認することができた。これら2か所には、周辺の岩窟墓の状況から、いずれも第18王朝トトメス4世時代に属する岩窟墓の存在が予想される。そのため今後の調査により、この地区における岩窟墓の造営の変遷が一層明確になることが期待される。平成28年度に実施した大規模な堆積砂礫の除去作業によって出土した膨大な量の葬送用コーンの分析を通じて、当該地域における未発見の岩窟墓の複数の所有者の推定を可能とすることができた。これらの成果をまとめ発表することができた。平成29年度には、KHT02(コンスウエムヘブ墓)を中心として、岩盤工学の専門家と壁画の修復家の協力を受け、岩窟墓内部の壁面の保存修復作業を重点的に実施し、大きな成果をあげることができた。この結果、今後の岩盤脆弱で発掘作業が困難な部分の調査に対する目途を立てることを可能にした点でも意義は大きいと考えられる。
著者
野村 大成 藤堂 剛 斉藤 直 本行 忠志 中島 裕夫 杉山 治夫
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1995

1. 異なる線量率(0.57Gy/分〜0.0002Gy/分)で発生腫瘍の異なる2系統のマウスC3H/HeJ,C57BL/6Jに、6週齢より7日間隔で4回Co-60ガンマ線を照射(総線量2Gy,6.8Gy)し、腫瘍発生における線量-線量率効果係数(DDREF)を求めた。その結果、(1) 低線量率照射により、全腫瘍および固型腫瘍発生の遅延(両系統2および6.8Gy)と白血病発生に顕著な線量率効果が認められた。DDREFは6.8Gy照射で20〜40、2Gy照射で約2であった。(2) 固型腫瘍については、全固型腫瘍発生率でみるとC57BLマウスで線量率効果を認めるが、C3HマウスではDDREFは1に近かった。しかし、卵巣腫瘍が高発するため、卵巣腫瘍およびC57BL/6Jマウスに自然発生する細網肉腫を除外したが、傾向は変わらなかった。臓器別にみると、肺、乳腺、下垂体腫瘍に線量率効果が認められ、DDREFは2〜3(両系統)であった。2. X線、^<60>Coγ線、^<252>Cf中性子線による胎児死、奇形、がん、突然変異の同一個体検出をPTHTF_1法を用い行った。X線では、いずれも明確な線量率効果を認めた。また、^<252>Cfによる突然変異とがん発生のRBEは、^<60>Coγ線とX線に対し、いずれも6〜9であった。3. DNA二重鎖切断欠損培養細胞と野生型培養細胞を用いた、^<60>Coγ線による細胞致死効果の線量率効果は、大部分が二重鎖切断の修復によるものだが、一部それ以外のプロセスがある。4. 微量放射能によるヒトでの遺伝子変異の調査:チェルノブイリ事故による放射能被曝者(放射性物質除去作業者、汚染地域住民など)の血液採取し、白血病早期発見のため、WT1遺伝子発現の定量と分子レベルでの遺伝子変異の高感度検出法の開発を行った。
著者
加藤 博文 石田 肇 吉田 邦夫 佐藤 孝雄 米延 仁志 ハドソン マーク 米田 穰 安達 登 増田 隆一 長沼 正樹 深瀬 均 木山 克彦 江田 真毅 岡田 真弓 木山 克彦 江田 真毅 岡田 真弓 長沼 正樹
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2012-10-31

本研究では、アイヌの集団的・文化的形成過程において海洋狩猟民文化の強い影響が社会文化伝統にも、集団的にも、存在したことを示唆する豊富な資料を提供することができた。浜中2遺跡の調査では、海獣儀礼の伝統が先行する先史文化から連続して継承、発展されアイヌ文化の中へ取り込まれていくことが考古学的に提示された。集団的な系統性については、先行研究で示唆されていたオホーツク文化の関与を補強する資料を得ることができた。提示されたアイヌ民族の集団形成性の複雑さは、集団のアイデンティティの形成過程や変遷についても、社会・経済・政治的文脈での検討の必要性を示唆している。今後も得られた資料の調査研究を進めていく。
著者
窪寺 恒己 天野 雅男 森 恭一 青木 かがり 篠原 現人 西海 功 大泉 宏 庄司 隆行
出版者
独立行政法人国立科学博物館
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2010-04-01

中深層性大型イカ類に関しては、特殊水中ビデオカメラ・ライトを開発し深海の環境を乱すことなく、それらの行動生態を記録し生物量の推定を試みた。2011年には小笠原沖でNHKと共同して有人潜水艇から世界初となるダイオウイカの生態観察・撮影に成功した。一方マッコウクジラに関しては、加速度マルチロガーと超小型水中カメラロガーを直接取り付けることにより、潜水中の行動を3Dで捉えることに成功し、餌となる大型イカ類を追跡・捕獲する行動パターンを明らかにした。また、深海の腐肉食性ベントスの蝟集実験を行い、蝟集物質の科学的組成を解析するとともにベントス群集の時間的変遷を明らかにした。
著者
本堂 毅 平田 光司 関根 勉 米村 滋人 尾内 隆之 笠 潤平 辻内 琢也 吉澤 剛 渡辺 千原 小林 傳司 鈴木 舞 纐纈 一起 水野 紀子 中島 貴子 中原 太郎
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2013-04-01

科学技術の専門的知識には,程度の差はあれ,様々な不確実性が避けられない.また,社会の中で科学技術の知識を用いる際にどのような科学的知識が必要かは価値判断と不可欠であるため科学自体では定まらない.このような「科学的知識の不定性」を直視し,不定性の様々な性質を踏まえた上で,より的確な判断を私たちが主体的に下すための条件を考察し,科学的知識に伴う不定性の性質・類型を明らかにするとともに,その成果を書籍にまとめた(2017年度に出版予定).