著者
坂本 忠規 中川 武 中沢 信一郎 林 英昭 レ ヴィンアン
出版者
公益財団法人 竹中大工道具館
雑誌
竹中大工道具館研究紀要 (ISSN:09153685)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.37-76, 2009 (Released:2021-03-22)
参考文献数
26

1 本稿は2007年9月および12月に実施したベトナム北部ハナム省・中部トゥアティエンフエ省・中南部ニントゥアン省における伝統木造建築と大工道具に関する調査結果の一部を報告したものである。 2 調査地域の伝統木造建築に代表されるようにベトナムの木造建築は中国の影響下にありつつも登り梁を用いた独自の架構形式や細部意匠を持つ。また北部の梁を重ねる小屋組に対し、中部や南部では真束式とするなど、北部と中・南部で構造技法が大きく異なる。 3 特徴的な架構は設計の道具にも影響を与えており、大矩や腋尺など独特な道具の使用を見ることができる。また木槌やT 字型斧の使用など中国や他の東南アジア地域では見られない独自の道具の使い方が確認された。