著者
村岡 克紀 ワグナー フリードリヒ 山形 幸彦 原田 達朗
出版者
一般社団法人 日本エネルギー学会
雑誌
日本エネルギー学会誌 (ISSN:09168753)
巻号頁・発行日
vol.98, no.1, pp.9-16, 2019-01-20 (Released:2019-01-31)
参考文献数
19

本稿では,風力と太陽光発電(以降,PV と略記)を電力網に大規模に導入しようとする際に,これら再生可能エネルギー(以降,REと略記)からの電気出力が間歇的であることによって引き起こされる問題を,簡単化したモデルを用いて定量的に予測する。用いた解析は,九州電力の電力負荷,風力およびPVについての最近の15分間隔データを基にしている。その結果,次の結論を得た:(1)REによる年間発生電力量が年間負荷電力量の40%を超えると,余剰電力量と送電網に流れる電力が過大になる;(2)RE出力の間歇性を補うためのバックアップには現在のところ火力発電での対処が必要であるが,それによるCO2排出があってREを増やしても結果的にCO2排出は大幅には減らない;(3)その状況を克服するのに必要な電力貯蔵量は,現在の九州電力の揚水発電容量の数十倍以上が必要である。本検討により予測された問題点を意識して,より現実に近い近似のもとでの詳しい解析が行われることが期待される。