著者
高松 進 一谷 多喜郎
出版者
日本植物病理学会
雑誌
日本植物病理學會報 (ISSN:00319473)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.82-85, 1986-01-25

本邦未報告の Pythium okanoganense Lipps によるムギ褐色雪腐病の発生を確認した。病徴は P. iwayamai および P. paddicum による既知の褐色雪腐病の場合と同様であった。1982年から1984年にかけて福井県北東部地帯で調査したところ, 本菌は, 157圃場のうち10圃場で分離され, うち2圃場では最優占種であった。本菌は乾田で分離され, 湿田では分離されなかった。コムギ1品種(ナンブコムギ)とオオムギ2品種 (べんけいむぎ, ミユキオオムギ)に対して接種したところ, いずれの品種も雪腐症状を呈したが, ナンブコムギはべんけいむぎ, ミユキオオムギに比べて発病程度が低かった。P. iwayamai と P. paddicum に比べて病原力はやや弱いが, 本菌はわが国におけるムギ褐色雪腐病菌の一つと考えられた。