著者
小林 卓哉 三原 康子 西脇 剛史 藤井 文夫
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集A2(応用力学) (ISSN:21854661)
巻号頁・発行日
vol.70, no.2, pp.I_419-I_428, 2014 (Released:2015-02-20)
参考文献数
13

局所的な構造不安定の問題,たとえば薄肉構造の局所座屈に代表されるような問題では,部分的な変形が隣接する部分の変形を促し,それらの間でひずみエネルギの授受を伴いながら構造全体の不安定性が増大したり,あるいは解消する挙動が現れる.構造全体の挙動を一つのパラメータによって制御する手法,例えば弧長法によってこの種の問題を安定に解くことは難しく,慣性力あるいは粘性力の効果を導入し,ひずみエネルギの局所的な消散を適正に表現する必要がある.これまで適用例が多い動的陽解法は,その一つの便法である.本研究では最近の汎用FEMを使用し,人工的な粘性を与えることによって局所的な構造不安定に起因する解析の困難を克服した.圧縮を受ける完全円筒に近い弾性円筒シェルを手始めに,材料に起因する不安定現象を含め,全自動かつシームレスの解析によって深い後座屈の領域までをトレースすることが可能になったので報告する.