著者
髙田 佳 北村 一紘 奥村 真佑 三宅 高文 三上 敦大
出版者
市立室蘭総合病院
雑誌
市立室蘭総合病院医誌 = Journal of Muroran City General Hospital = Journal of Muroran City General Hospital (ISSN:02892774)
巻号頁・発行日
vol.42, no.1, pp.37-40, 2017-09-30

Social networking service(以下SNS)は他者とのコミュニケーション、日記を書くための媒体として広く利用されている。当科患者におけるインターネット利用状況、SNS利用状況を知り、それに関連する問題点、病状への関与について考察するため、質問紙により調査を行った。結果、ネット利用者は約7割で、うちSNSの利用者は約7割であった。利用頻度では、「毎日」が8割近くを占めており、1日あたりの利用時間は、1〜5時間が過半数であった。ストレスがあると答えた人が約4割であった。しかしストレスがある人にSNSをやめたいかと問うと、やめたいと答えた人は半数に満たなかった。Facebook の「いいね!」機能などは、他者からの承認により自己肯定感を高める作用があるが、それはさらなる承認欲求につながり、満たされないと逆に自己肯定感の低下などへと発展することもあることが示唆された。NSへの投稿は、自己効用、関係効用の増加から精神的健康が高まる可能性、ポジティブ・ネガティブフィードバックの多寡により、精神的健康に影響したり、承認欲求が満たされないことから精神的不調をきたす可能性も示唆されている。このようにSNSは使用法によっては利用者の精神的健康への影響にもつながる。治療者としては、患者のSNS利用については容認しながらも、病状の悪化につながっていないかに常に留意する必要があるだろう。
著者
髙田 佳 北村 一紘 奥村 真佑 三宅 高文 三上 敦大
出版者
市立室蘭総合病院
雑誌
市立室蘭総合病院医誌 = Journal of Muroran City General Hospital = Journal of Muroran City General Hospital (ISSN:02892774)
巻号頁・発行日
vol.42, no.1, pp.37-40, 2017-09-30

Social networking service(以下SNS)は他者とのコミュニケーション、日記を書くための媒体として広く利用されている。当科患者におけるインターネット利用状況、SNS利用状況を知り、それに関連する問題点、病状への関与について考察するため、質問紙により調査を行った。結果、ネット利用者は約7割で、うちSNSの利用者は約7割であった。利用頻度では、「毎日」が8割近くを占めており、1日あたりの利用時間は、1〜5時間が過半数であった。ストレスがあると答えた人が約4割であった。しかしストレスがある人にSNSをやめたいかと問うと、やめたいと答えた人は半数に満たなかった。Facebook の「いいね!」機能などは、他者からの承認により自己肯定感を高める作用があるが、それはさらなる承認欲求につながり、満たされないと逆に自己肯定感の低下などへと発展することもあることが示唆された。NSへの投稿は、自己効用、関係効用の増加から精神的健康が高まる可能性、ポジティブ・ネガティブフィードバックの多寡により、精神的健康に影響したり、承認欲求が満たされないことから精神的不調をきたす可能性も示唆されている。このようにSNSは使用法によっては利用者の精神的健康への影響にもつながる。治療者としては、患者のSNS利用については容認しながらも、病状の悪化につながっていないかに常に留意する必要があるだろう。
著者
小原 絵夢 古高 陽一 三宅 高文 三上 敦大 伊東 あかね
出版者
市立室蘭総合病院
雑誌
市立室蘭総合病院医誌 = Journal of Muroran City General Hospital (ISSN:02892774)
巻号頁・発行日
vol.41, no.1, pp.40-41, 2016-09-30

症例は 65歳の女性。膀胱癌治療中、抑うつ気分、不眠が出現し、他院精神科にてうつ病と診断され、mirtazapineが開始となった。その後、否定妄想、不死の観念、反対症が出現し、コタール症候群と考えた。当科入院後、炭酸リチウム(以下Li)を追加したところ、前述の症状は消失し、抑うつ気分も軽快した。 コタール症候群の治療は原疾患に準じて行われる。原疾患がうつ病の場合、抗うつ薬、抗精神病薬が使用されるが、これらの大部分は、抗癌剤と同様、肝代謝酵素が関与する。一方でLiは、肝代謝を受けない。このため、薬物相互作用から薬剤の選択肢が限られる担癌患者のうつ病治療において、Liの使用は有効な治療戦略と言える。コタール症候群に対するLi使用の報告はまだ少なく、今後エビデンスの集積が望まれる。