著者
松下 戦具 三島 爽香
出版者
容装心理学研究編集委員会
雑誌
容装心理学研究 (ISSN:24363367)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.29-38, 2022 (Released:2022-05-02)

イレズミ(tattoo)の人口が増えてきている国々においてさえ,自分や他者のイレズミに対する抵抗感は依然として存在している。人々がイレズミに対してさまざまな否定的意見を持っているという点で,同じことが日本にも当てはまる。しかしながら,どのような意見がイレズミへの抵抗感と結びつく傾向があるのかはよくわかっていない。本研究では,イレズミに関する否定的な意見について因子分析を行い,イレズミの人物への嫌悪,社会的不利益,リスクの3つの因子を得た。次に,3因子で抵抗感の強さを説明する重回帰分析を行った。その結果,回答者本人がイレズミを入れる事を想定した場合には社会的不利益因子が重要で,他人がイレズミを入れることを想定した場合には人物への嫌悪因子が重要であった。これらの知見は、自己と他者のイレズミへの抵抗感につながる因子が明らかに異なるということを示唆している。