- 著者
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大坊 郁夫
- 出版者
- 容装心理学研究編集委員会
- 雑誌
- 容装心理学研究 (ISSN:24363367)
- 巻号頁・発行日
- vol.1, no.1, pp.1-4, 2022 (Released:2022-05-02)
外見の表現様式としての装(粧)いは,生存につながる心身の健康を維持する適応や社会的な所属性を示す重要な意味を持っている。さらに,時代と共に細分化された社会性へのニーズや個人性の表出を求める傾向とも密接に関連している。所属する文化による軽重の差はあるが,外見は人為的に操作できるが,内面についての操作はし難い故に,外見よりも内面を重視する,信頼する意識が一般に広く流布している。しかし,外見の魅力は,それが直ちに出会い後の関係を左右するものではないが,内面を理解した上で持続する関係づくりの重要な契機となっている。装(粧)いには身体に由来する概ねの共通性と個人差による識別性,そして社会的な所属性との総合的な機能がある。化粧と服装のバリエーションは多岐に渡り,その心理的,社会的影響には際限がない。装(粧)うことは,肉体の可能性を拡大しながら,多様化している。それ故研究のニーズはさらに増すであろう。