著者
三木 朋乃 高 永才
出版者
特定非営利活動法人 グローバルビジネスリサーチセンター
雑誌
赤門マネジメント・レビュー (ISSN:13485504)
巻号頁・発行日
vol.10, no.11, pp.775-788, 2011-11-25 (Released:2017-10-10)
参考文献数
13

本稿は、医療機器市場に参入したことのない富士フイルムが、なぜ、世界に先駆けてデジタルX 線画像診断システムを開発し、普及させることができたのかを明らかにしていく。事例分析の結果、富士フイルムは既存のアナログX 線画像診断装置をモジュール化し、世代を超えて共通利用していたことが分かった。さらに、既存顧客の声を聞き入れ、レントゲン写真の診断に使われていた知識やノウハウがデジタルX 線画像診断システムに使えるように製品開発を行っていたことが明らかになった。こうした製品開発プロセスは、顧客の移行コストを削減し、富士フイルムのデジタルX 線画像診断システム (Fuji Computed Radiography) の普及につながった。