著者
大木 清弘
出版者
特定非営利活動法人 グローバルビジネスリサーチセンター
雑誌
赤門マネジメント・レビュー (ISSN:13485504)
巻号頁・発行日
vol.15, no.10, pp.509-522, 2016-10-25 (Released:2017-02-25)
参考文献数
18

本稿は経営学分野の学術論文における「筋が悪い」リサーチクエスチョンを説明したものである。まず、学術的ではないビジネスレポート的リサーチクエスチョンを取り上げる。次に、学術的だが筋の悪いリサーチクエスチョンとして、(1)「無知」によるリサーチクエスチョン、(2)「無謀」なリサーチクエスチョン、(3)「無理矢理」なリサーチクエスチョンをとりあげる。その上で、「筋が悪い」リサーチクエスチョンに陥らないために考慮すべきことを議論する。
著者
高井 文子 近能 善範
出版者
特定非営利活動法人 グローバルビジネスリサーチセンター
雑誌
赤門マネジメント・レビュー (ISSN:13485504)
巻号頁・発行日
vol.22, no.3, pp.71-112, 2023-06-25 (Released:2023-06-25)
参考文献数
50

本稿は、1970年代後半から1990年代半ばにかけての日本のパソコン市場を対象に、市場の立ち上がりからNECによる寡占体制が確立し、やがてそれが崩れ去っていくまでのプロセスを時系列的に丁寧に記述することを通じて、リーダー企業が新たなイノベーションに十分に対応できず、競争力を大幅に毀損してしまう原因を探ることを目的としている。本稿では、事例を記述するにあたって、①プロセス戦略論の視点、②競争ダイナミクスの視点、③行為システム・アプローチの視点、という三つの視点を意識しながら、通常求められる以上に「厚い」事例記述を行う。
著者
高井 文子 近能 善範
出版者
特定非営利活動法人 グローバルビジネスリサーチセンター
雑誌
赤門マネジメント・レビュー (ISSN:13485504)
巻号頁・発行日
pp.0230131b, (Released:2023-07-11)
参考文献数
37

本稿は、1970年代後半から1990年代半ばにかけての日本のパソコン市場を対象に、市場の立ち上がりからNECによる寡占体制が確立し、やがてそれが崩れ去っていくまでのプロセスを時系列的に丁寧に記述することを通じて、リーダー企業が新たなイノベーションに十分に対応できず、競争力を大幅に毀損してしまう原因を探ることを目的としている。本稿では、事例を記述するにあたって、①プロセス戦略論の視点、②競争ダイナミクスの視点、③行為システム・アプローチの視点、という三つの視点を意識しながら、通常求められる以上に「厚い」事例記述を行う。
著者
岩尾 俊兵 前川 諒樹
出版者
特定非営利活動法人 グローバルビジネスリサーチセンター
雑誌
赤門マネジメント・レビュー (ISSN:13485504)
巻号頁・発行日
vol.15, no.6, pp.341-350, 2016-06-25 (Released:2017-02-25)
参考文献数
25

Thompson (1965) は、既存の官僚制組織が仕事を細分化・専門化させることで企業の生産性を向上させると同時に、仕事の過度な細分化を生じさせイノベーションを阻害する可能性があると指摘した論文である。しかしながら、Thompsonの議論は官僚制組織 (官僚的な組織) と創造性を単なる対立関係にあると想定したものではなく、官僚制組織にいくらかの修正を加えることで生産性と創造性が両立できるのではないかと論じている。たとえば、この論文では、官僚制組織において創造性を担保する役割がプロフェッショナルに求められており、イノベーティブな活動に従事するそのようなプロフェッショナルを処遇するには単線評価でなく総合評価がよく、仕事自体の面白さによって内発的動機づけが行われる必要があるという。
著者
西嶋 貴史
出版者
特定非営利活動法人 グローバルビジネスリサーチセンター
雑誌
赤門マネジメント・レビュー (ISSN:13485504)
巻号頁・発行日
vol.5, no.5, pp.369-380, 2006-05-25 (Released:2018-03-11)

「もの」を売っていないARMのような半導体IPのビジネス・モデルの企業形態は、なかなか一般に理解されていない。半導体チップの設計におけるIPは、料理のレシピのようなものである。ARMは、そのレシピ(IP)をライセンスするだけで、料理(チップ)は料理人(半導体メーカー)にお任せするというやり方をビジネス・モデルとして行っている。本報告では、高収益のARMのIPビジネス・モデルの歴史的背景および現状に関して説明する。
著者
高橋 伸夫
出版者
特定非営利活動法人 グローバルビジネスリサーチセンター
雑誌
赤門マネジメント・レビュー (ISSN:13485504)
巻号頁・発行日
pp.0200515a, (Released:2020-05-30)
参考文献数
92

1990年代以降、日本でも経営・組織のシミュレーション研究が行われるようになってきた。本稿は、研究者間の関係も重ね合わせて、1990年代以降の日本の経営・組織のシミュレーション研究をレビューする。世界の研究の潮流は、シミュレーションの結果だけを、多くはメタファーとして引用するというものである。しかし、日本の一連の研究は、それとは異なる次のようなユニークな研究群である:(1) 既存モデルを批判的に検証した上で、(2) 自分でもシミュレーションを実施し、(3) シミュレーションの結果が実際に存在するのか現実の調査データで検証する。こうした研究がシミュレーション研究の可能性を切り開く。

11 0 0 0 OA 経営史と社史

著者
粕谷 誠
出版者
特定非営利活動法人 グローバルビジネスリサーチセンター
雑誌
赤門マネジメント・レビュー (ISSN:13485504)
巻号頁・発行日
vol.15, no.6, pp.331-340, 2016-06-25 (Released:2017-02-25)
参考文献数
21

日本の社史は、社内に社史編纂委員会・社史編纂室が設けられ、社内で執筆され、著者が明示されず、会社が刊行するが、出版はされない、という例が多い。社外の専門家が執筆する場合も、奥付に名前が出ることは珍しい。ただし正史の社史の他に、普及版が刊行される場合は、著者名が奥付に明記されることが多い。これに対し、欧米の社史は、外部の専門家が執筆し、著者名が明記され、出版社から出版されるのが一般的である。ただし会社で原稿をチェックし、会社が意見を付けられるようになっている。さらに山一証券100 年史の事例にもとづき、社史がどのように刊行されるかを述べる。
著者
高橋 伸夫
出版者
特定非営利活動法人 グローバルビジネスリサーチセンター
雑誌
赤門マネジメント・レビュー (ISSN:13485504)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.9-40, 2004-01-25 (Released:2018-03-18)
参考文献数
18
被引用文献数
1

経営分野の若手研究者・大学院生を念頭に、英文論文を執筆するというプロセスを通して、研究の進め方、論文の書き方、さらには学界事情など、研究者の世界について解説する。
著者
大神 正道
出版者
特定非営利活動法人 グローバルビジネスリサーチセンター
雑誌
赤門マネジメント・レビュー (ISSN:13485504)
巻号頁・発行日
vol.8, no.4, pp.141-168, 2009-04-25 (Released:2018-02-26)
参考文献数
18

本稿は、板ガラス成形技術に焦点を当て、1900年代初頭から1981年までに登場する七つの成形法を概説する。次に、それらを四つの系統に分け、1981年までにどの技術がどのように台頭し、そして競合し、棲み分け、あるいは駆逐されたかを明らかにする。そして、イノベーション論の観点から板ガラス成形技術の変遷を検討し、技術の棲み分けが生じる要因に関してディスカッションを行う。
著者
富田 純一 藤本 隆宏 賀来 高志 宇佐美 直子 菊池 嘉明 石原 弘大 藤田 大樹 吉田 敏
出版者
特定非営利活動法人 グローバルビジネスリサーチセンター
雑誌
赤門マネジメント・レビュー (ISSN:13485504)
巻号頁・発行日
pp.0200417a, (Released:2020-08-20)
参考文献数
11

本稿の目的は、野村不動産株式会社が手掛けた「Premium Midsize Office」と呼ばれるオフィスビルの開発事例分析を通じて、同社の戦略形成プロセスを検討することにある。同社は、1フロア1テナントという中規模サイズでありながらハイグレードなオフィスビル市場をいち早く開拓した。同社はなぜそうした潜在市場を掘り当てることができたのか。事例分析の結果、同社の創発的な戦略形成プロセスが明らかにされる。
著者
足代 訓史 木川 大輔
出版者
特定非営利活動法人 グローバルビジネスリサーチセンター
雑誌
赤門マネジメント・レビュー (ISSN:13485504)
巻号頁・発行日
pp.0220310a, (Released:2022-08-03)
参考文献数
103

本稿は、成熟段階にあるプラットフォーム (成熟PF) ビジネスの競争力の促進・阻害要因を、プラットフォームの種別ごとに整理するものである。本稿では、文献レビューを通じ、ユーザーや補完者の特質の違いをPF の種別に沿って検討することで、各促進・阻害要因やそれへの対処法がPF の種別ごとに異なることを分析した。また、本稿では、既存研究においてその特質を踏まえた検討が十分になされてきたとは言い難いソーシャルメディア型PFの存在を指摘し、当該対象に対する今後のリサーチアジェンダを提起した。
著者
柴田 友厚 児玉 充 鈴木 潤
出版者
特定非営利活動法人 グローバルビジネスリサーチセンター
雑誌
赤門マネジメント・レビュー (ISSN:13485504)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.1-22, 2017-02-15 (Released:2017-02-25)
参考文献数
27
被引用文献数
4

探索と活用という目的と性質が違う二種類の活動を、企業内で分離させながらも共存させる二刀流組織の考え方が提示されてきた。しかし、企業内の探索と活用の関係性は状況に応じて異なるにもかかわらず、先行研究はその違いを考慮していないために有効性と妥当性に限界がある。本稿は、探索製品と主力製品の製品代替性に注目して、二刀流組織を共食い型と補完型の二つに類型化し、各々経営課題と有効なマネジメントが異なることを議論する。そして富士フイルムの詳細な事例分析から、デジタル化の波を生き延びた要因の一つは、状況適合的な二刀流組織のマネジメントを行った点にあることを主張する。
著者
會澤 綾子
出版者
特定非営利活動法人 グローバルビジネスリサーチセンター
雑誌
赤門マネジメント・レビュー (ISSN:13485504)
巻号頁・発行日
pp.0190925a, (Released:2019-10-18)
参考文献数
51

Ashforth and Anand (2003) は、組織の中で複数人によって行われるグループレベルの集合的不正行為 (collective corruption) に着目し、その発生メカニズムについてフレームワークを提言した。そして、組織内で複数人によって不正行為が行われ継続していくことを「不正行為が常態化する (normalized)」と表している。常態化するまでの要因は、(1) 制度化、(2) 合理化、(3) 社会化の三つに分けられる。リーダーシップにより始まった不正行為は組織内で埋め込まれルーティン化することで制度化されていく。そしてその行為は合理化されることで関わる人々の概念を再構成していく。本来であれば誤りに気付くはずの新規加入者も、不正行為を行う組織に取り込まれ社会化されていくため、常態化した不正行為を止めることは非常に難しい。Ashforth and Anand (2003) の提言は、企業における不正行為が組織ゆえに発生し、かつ継続してしまうということを改めて認識することになるだろう。
著者
牧野 司
出版者
特定非営利活動法人 グローバルビジネスリサーチセンター
雑誌
赤門マネジメント・レビュー (ISSN:13485504)
巻号頁・発行日
vol.16, no.3, pp.161-165, 2017-06-25 (Released:2017-06-25)
参考文献数
3

人工知能、生命工学、製造技術などのテクノロジが、現在の延長線上では考えられないようなスピードで進化を始める時点を「技術的特異点 (テクノロジカル・シンギュラリティ) と呼ぶ。シンギュラリティに到達すると、あらゆる社会生活およびビジネスに大きな変化が生じると考えられている。「人工知能が人類を滅ぼしてしまうのではないか」という懸念がある一方、「幾何級数的に進化するテクノロジにより、世界の抱えている課題はそのほとんどが解決可能である」という明るい未来予測もある。「テクノロジカル・シンギュラリティ」という言葉を初めて提唱した未来学者レイ・カーツワイル氏は後者の考えで、カリフォルニアのシリコンバレーに「シンギュラリティ大学」を創設した。世界中から優秀な頭脳を集めて世界の問題解決に挑むと同時に「エグゼクティブ・プログラム」などを通じてその考えを全世界に広めようとしている。本講演では、講師が本年7月に米国シンギュラリティ大学・エグゼクティブ・プログラムで学んできた内容をベースに未来はどうなるのか、私たちは何をすべきか等について述べていく。
著者
和田 剛明
出版者
特定非営利活動法人 グローバルビジネスリサーチセンター
雑誌
赤門マネジメント・レビュー (ISSN:13485504)
巻号頁・発行日
vol.2, no.11, pp.563-580, 2003-11-25 (Released:2018-03-19)
参考文献数
13
被引用文献数
1

家庭用テレビゲーム産業は、日本が国際競争力を持つコンテンツ産業として注目され、コンテンツを生み出すメーカーを対象に、産業構造、およびソフト制作や人事システムといった面からの研究がなされてきた。その一方で、製品を消費者に届ける流通の構造についてはあまり言及されることはなかった。本稿では、まず当初玩具流通をもとに構築されたゲームソフトの流通システムについて、歴史的な変遷の経緯を示す。その後に、小売店の仕入れリスクが大きすぎる現状の構造が、市場の縮小に繋がるという問題点について指摘する。
著者
高橋 伸夫
出版者
特定非営利活動法人 グローバルビジネスリサーチセンター
雑誌
赤門マネジメント・レビュー (ISSN:13485504)
巻号頁・発行日
vol.2, no.6, pp.247-278, 2003-06-25 (Released:2018-03-19)
参考文献数
39
被引用文献数
3

ぬるま湯的体質の研究が出来るまでの過程を学会や周囲の反応などの裏話も含めて整理する。当初は論文や本にすることを意識していなかったが、学会などで叩かれたことで逆に発奮し、10年以上にわたって継続的に調査研究を続けることになった。その結果、思いもかけない事実や現象もとらえられることになる。