著者
三木一彦
出版者
文教大学
雑誌
教育学部紀要 = Annual Report of The Faculty of Education (ISSN:03882144)
巻号頁・発行日
vol.41, pp.21-29, 2007-12-01

近年,ヨーロッパ諸国では,EU 統合が進展する中で,地域言語の存在に脚光が当てられつつある.本稿では,フランス国内におけるアルザス・アキテーヌ・ブルターニュの3 地方を事例とし,それぞれの地域言語の沿革や現状について検討を行なった.アルザス地方では,歴史的な経緯もあってアルザス語が多く使用され,近年では国境を越えた交流の進展とともに,アルザス語は一定の復権をみせている.一方,アキテーヌ地方ではオクシタン語とバスク語の使用がみられ,使用人口はオクシタン語の方が多いものの,存続傾向にあるのはむしろバスク語の方である.また,ブルターニュ地方ではブルトン語が存在し,その使用範囲は徐々に狭まってきていたが,最近ではブルトン語と地域主義運動との連関がみられる.全体として,長らく衰退傾向にあったフランスの地域言語は,現在,それぞれの地方における地域文化の核として徐々に見直されつつあるといえよう.
著者
三木一彦
出版者
文教大学
雑誌
文教大学教育学部紀要
巻号頁・発行日
vol.2003年度, no.37, 2003-12