著者
三村 和則
出版者
日本教科教育学会
雑誌
日本教科教育学会誌 (ISSN:02880334)
巻号頁・発行日
vol.34, no.4, pp.97-102, 2012-03-25 (Released:2018-05-08)

沖縄の学力向上には授業の他,家庭・地域・行政が総掛かりで取り組む必要がある。授業では「凡事徹底」をし「PISA型学力対応授業」に飛躍していく。家庭の主課題は「全国学力調査」で正答率との高い相関が確認されている「早寝・早起き・朝ご飯」と子どもとの会話である。しかし沖縄には若年結婚・出産率や若年低収入離婚率などが高いためその実現が困難な事情があり,この解決も急務である。行政は沖縄振興計画について「永遠に無くならない本土との地理的隔たりから生じる格差を埋めるための恒久的施策」に発想を転換する時である。学力格差はこの格差の一つであり,学力低迷の基盤的要因は県内に情報・モノ・サービスが滞留することにある。この要因除去の方策は県外との往来の簡便化である。「全国学力調査」の質問紙調査の項目に正答率と相関があり「当てはまる」の類の回答率の平均値が秋田県>全国>沖縄県となっているものが存在した。これらは学力向上のため「黄金律」を示唆している。