著者
渡部 育子 坪野谷 和樹 三森 朋恵
出版者
秋田大学
雑誌
秋田大学教育文化学部教育実践研究紀要 (ISSN:13449214)
巻号頁・発行日
vol.31, pp.99-108, 2009-05-30

本稿は歴史における体験学習をめぐる考察と,中学校社会科の歴史分野における教材開発について述べるものである.歴史の体験では,過去の時代を体験するという,現実には不可能なことを"体験"することになる.不可能を可能にするためには,その時代に関する総合的な知識を習得していることが不可欠の要素となる.また,体験学習では,農山漁村体験や社会体験のように,場の設定が必要である.歴史における体験学習の場としては遺跡があげられる.本稿で紹介する教材では,秋田県大仙市の払田柵跡を体験学習の場に設定した.地域学習の意義と体験学習の意義を高めるために,ゲーミング・シミュレーションの手法を用いた.わが国の律令国家が成熟する9世紀初頭の時期の時代の全体像を見据えながら,秋田という日本列島を構成する一地域の人々の生活について,ゲームの世界で体験させる試みである.