著者
橋本 和幸 三沢 元彦
出版者
了德寺大学
雑誌
了德寺大学研究紀要 = The Bulletin of Ryotokuji University (ISSN:18819796)
巻号頁・発行日
no.6, pp.37-50, 2012

近年,学齢期における生活習慣の乱れが指摘され,特に睡眠時間の不足と朝食の欠食が学校生活に悪影響を与えていると考えられている.本研究では,小学校5年生199名を対象に,睡眠習慣(就寝時刻・睡眠時間)・食事習慣と,学力(漢字・計算)および学習意欲との関連を検討した.睡眠習慣は幼児期と小学校5年生現在のものとの関連も調査した.結果は,平均的な就寝時刻の者は,就寝時刻が早い者よりも計算得点が高く,就寝時刻が遅い者よりも規則正しい食事をしていた.また,睡眠時間が平均的な者は,短い者より漢字得点が高く規則正しい食事をしており,長い者より計算得点が高かった.さらに,食事習慣と漢字得点および学習意欲との間と,学習意欲と漢字および計算得点との間に相関関係が見られた.そして,幼児期の就寝時刻が早かった者は小学生でも早く就寝する傾向が見られた.これらから,平均的な就寝時刻と睡眠時間が食事習慣を規則正しくして,学力および学習意欲を高めていると考えられる.また,睡眠習慣は幼児期のものが後年に影響を与えていると考えられる.