著者
橋本 和幸 中川 博之 田原 康之 大須賀 昭彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.94, no.11, pp.1762-1772, 2011-11-01
被引用文献数
1

近年,政策やサービスなどの評判を調査するためにアンケート形式による調査が増加しているが,回収率が低落傾向にあることや,人的コストが増加するなどの問題が生じている.一方,Web上にはユーザの意見を含む評価情報が多数存在している.そこで本研究では,評判傾向予測システムの構築を目的として評判傾向の時間的変化とその原因をマイクロブログから抽出する評判傾向抽出エージェントの実現を目指す.特に本論文では,評判傾向の抽出と評判傾向が変化した原因の抽出に注力する.評価情報の感情を抽出するセンチメント分析に着目し,回帰式から評判傾向の変化点を抽出した後に,変化点におけるトピックをチャンキングにより抽出する手法を提案する.本手法は,従来の評価判定法であるp/n判定にセンチメント分析を組み合わせることで,p/n判定単体よりも人手による調査と相関の高い時系列変化を抽出できる点が特徴であり,政治及びテレビドラマに関するコンテンツを対象に実際の支持率,視聴率に対する評価実験を実施した結果,政治(自由度調整済決定係数R'^2(p/n判定単体:0.22,提案手法:0.60)),テレビドラマ(自由度調整済決定係数R'^2(p/n判定単体:0.26,提案手法:0.56))ともに相関の高い時系列変化を抽出できることが確認できた.
著者
橋本 和幸 吉岡 秀晃 長谷川 龍成 上岡 尚代 田辺 達磨
出版者
了德寺大学
雑誌
了德寺大学研究紀要 = The Bullentin of Ryotokuji University (ISSN:18819796)
巻号頁・発行日
no.14, pp.33-44, 2020

本研究は,先行研究で開発した保育園で行う運動遊びを,保育園を変えて追試を行ったものである.対象となる保育園は,先行研究と比べて,施設が手狭で,運動担当の保育士が不在という条件であった.運動遊びを保育園で継続して実施してもらい,3か月後に再度運動能力調査6種目を行って効果測定を行った.この結果,評点が有意に上昇した種目,有意に下降した種目,変化がなかった種目が2種目ずつに三分された.運動遊びが筋出力の調整とバランスに影響する2種目は成績が向上したと考える.一方,大きく強くジャンプしたり,全速力で走るなどの動きをしたりすることが影響する2種目は,園の施設の手狭さにより,成績が低下したと考える.
著者
橋本 和幸 田中 理恵 倉橋 朋子 上野 道子
出版者
了德寺大学
雑誌
了德寺大学研究紀要 (ISSN:18819796)
巻号頁・発行日
no.5, pp.7-18, 2011

20世紀半ばにその名前が登場した芸術療法の技法は多様であるが、その中に粘土を用いた造形活動もある。粘土は立体的な表現が可能で、可塑性が高い、多くの人が幼児期に使ったことがあるなどの特徴を生かした利用をされている。本研究では、このような粘土造形を行った際の心理状態を数量的データにより調査することを目的とする。そのために、一般大学生40名を対象に粘土造形を試行させて、粘土に触った感想と制作物の題名を調査した。結果は、感想からは「手触り」や「素材の特徴」など10個のカテゴリ、作品の題目からは「動物」や「キャラクター」など7個のカテゴリが得られた。この結果から、粘土を扱うとその手触りから退行が促進され、癒しの効果が得られることが明らかになった。そして、粘土を触った感想は、思考、感覚、感情という3つのレベルから考えられることも分かった。また、柔らかさを中心に手触りについての感想が多かった。さらに、粘土の使用はコミュニケーションツールにもなると考えられ、グループワークへの活用も期待できる。
著者
橋本 和幸 三沢 元彦
出版者
了德寺大学
雑誌
了德寺大学研究紀要 = The Bulletin of Ryotokuji University (ISSN:18819796)
巻号頁・発行日
no.6, pp.37-50, 2012

近年,学齢期における生活習慣の乱れが指摘され,特に睡眠時間の不足と朝食の欠食が学校生活に悪影響を与えていると考えられている.本研究では,小学校5年生199名を対象に,睡眠習慣(就寝時刻・睡眠時間)・食事習慣と,学力(漢字・計算)および学習意欲との関連を検討した.睡眠習慣は幼児期と小学校5年生現在のものとの関連も調査した.結果は,平均的な就寝時刻の者は,就寝時刻が早い者よりも計算得点が高く,就寝時刻が遅い者よりも規則正しい食事をしていた.また,睡眠時間が平均的な者は,短い者より漢字得点が高く規則正しい食事をしており,長い者より計算得点が高かった.さらに,食事習慣と漢字得点および学習意欲との間と,学習意欲と漢字および計算得点との間に相関関係が見られた.そして,幼児期の就寝時刻が早かった者は小学生でも早く就寝する傾向が見られた.これらから,平均的な就寝時刻と睡眠時間が食事習慣を規則正しくして,学力および学習意欲を高めていると考えられる.また,睡眠習慣は幼児期のものが後年に影響を与えていると考えられる.
著者
上岡 尚代 橋本 和幸 伊藤 マモル 小西 由里子 山本 利春
出版者
了德寺大学
雑誌
了德寺大学研究紀要 = The Bulletin of Ryotokuji University (ISSN:18819796)
巻号頁・発行日
no.8, pp.129-135, 2014

スポーツ選手を取り巻く環境条件には,天候,温度,湿度,サーフェイスの性状,用具など多岐にわたり,環境要因が適した状態に保たれる事は選手の健康を守る意味でも重要である.本研究ではスポーツ用具を用いる競技においてAdenosine TriPhosphate(以下,ATPと言う.)ふき取り検査法を用いた用具の清浄度を測定し,市販消臭剤と,コンタクトレンズ洗浄液に使用される「ポリヘキサメチレンビグアニド(以下,PHMBと言う.)」の清浄効果を比較検証し,競技者の衛生管理教育の基礎資料とする事を目的とした.方法は,剣道,フェンシング,なぎなた,アメリカンフットボールの顔に使用する用具(以下,顔用具と言う.)と手に使用する用具(以下,手用具と言う.)を対象に市販消臭スプレー使用前後及び,PHMBの使用前後のATP量を比較した.結果は,消臭スプレーでは手用具のATP量が減少し,顔用具では変化がみられなかった.一方,PHMBの使用後は顔用具,手用具とも減少した.この結果から,PHMBの活用はスポーツ用具の衛生管理に有用と考えられ,簡易で効果的な衛生管理方法の示唆を与える結果が得られた.
著者
桂 瑠以 橋本 和幸
出版者
情報メディア学会
雑誌
情報メディア研究 (ISSN:13485857)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.1-12, 2019-05-10 (Released:2019-05-10)
参考文献数
25

本研究では,60代から80代の高齢者1000名を対象に調査を行い,高齢者のインターネット(以下,ネット)の使用状況を年代別に検討し,ネットの使用が社会的活動及び精神的健康に及ぼす影響関係を検討することを目的とした。その結果,使用状況として,年代によりネットの使用に差異がみられ,年代が高いほど通話を多く行う一方,年代が低いほどSNSや携帯電話でのネットの使用が多いこと等が認められた。また,ネットの使用が社会的活動及び精神的健康に及ぼす影響として,60代の一部のネットの使用を除き,おおむね,ネットの使用が多いほど社会的活動が促進すること,社会的活動の中で,外出頻度が多いほど精神的健康が高まること等が認められた。とりわけ70代,80代では,ネットの使用が多いほど,社会的活動を介して,精神的健康が向上することが示唆された。
著者
橋本 和幸 松本 恭実 小川 歩
出版者
了德寺大学
雑誌
了徳寺大学研究紀要 = The bulletin of Ryotokuji University (ISSN:18819796)
巻号頁・発行日
no.11, pp.15-21, 2017

本稿は,2015年度1年間の学生相談室の利用状況を報告するものである.2012年に非常勤相談員が全員交代したことと,芸術学部の募集が停止となったことの影響で減少していた利用件数が,徐々に増加している.相談内容は,人間関係に関するものが最も多かった.来談経路は学生の自主的な来談が最も多かったが,相談員の授業を受けたことがあることを理由に挙げる学生も多かった.In this study, we examined the use of student counselling during 2015. Overall there has been an increase even though it had previously been in decline due to change in part time counsellors and recruitment of the art department was suspended. Most of the students' consultation was about the human relationship. Most of the students came to the counseling of their own volition, however some students came to the counseling as part of their own studies.
著者
上岡 尚代 野田 哲由 林 㤗京 橋本 和幸
出版者
了德寺大学
雑誌
了德寺大学研究紀要 = The Bulletin of Ryotokuji University (ISSN:18819796)
巻号頁・発行日
no.10, pp.45-51, 2016

高校陸上大会において行っているトレーナーブースを利用した競技者に対し,ピドスコープを用いて接地足蹠撮影装置を実施し,同時に傷害調査及びセルフコンディショニングの実施状況及び認識について調査した.傷害発生の部位は70%以上が下肢に発生していた.傷害発生時期は,53.7%が高校で発症しており,半数は完治していると回答したが,その半数近くは再発を繰り返していた.セルフケアの実施状況は,筋力トレーニングやストレッチング,アイシングなど必要性は認識しているにも関わらず,実施率は認識率を下回った.接地足蹠測定では,足蹠指数は陸上競技者が左右平均3.33本,コントロール群3.29本と陸上選手と同世代の一般学生で差は見られなかった.蹠指数と下肢の傷害の関係は,股の障害の有無と左右足の接地蹠指数の差は右足のみ蹠趾数が少ないほど有意に股関節と大腿前面の傷害発生数が多かった.(股関節t(28.0)=2.25, p<.05)(大腿前面 t(26.0)=1.89, p<.10),すねの傷害と蹠指数とは,両側とも足蹠趾数が少ないほど有意に脛部の傷害発生が多く,両者の関連性が示唆された.足指の把持筋力については,傷害発生率との有意な関連性はみられなかった.陸上選手と同世代の一般学生との足底荷重部分の違いについては,陸上選手が有意に足部前方に荷重していた.
著者
小澤 正基 渡邉 雅之 佐々木 祐二 三村 均 池田 泰久 大橋 朗 須郷 由美 森田 泰冶 佐伯 盛久 橋本 和幸
出版者
東京工業大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2009-05-11

高レベル廃液中で酸素酸イオンTcO4-として存在するTc(Tc-99)回収のための効果的な抽出剤を開発した。新しい配位子(2,2’-メチルイミノビスジオクチルアセトアミドMIDOAは、ジグリコールアミド(DGA)の中央のエーテル結合の部位に窒素を導入した中心骨格を持ち、Tcに対し強力な抽出能を示す。MIDOAは安定で毒性がなく、検査(治療)対象の臓器に無理なく取り込まれるTc (あるいはRe) 錯体を創製できた。クロマトグラフィ分離法による高レベル廃液処理分離プロセスを構築した。中性子捕獲による使用済み核燃料の核分裂生成物の元素変換挙動と創成元素の資源としての利用可能性を評価した。