著者
若狭 悠介 諸橋 一 坂本 義之 三浦 卓也 神 寛之 米内山 真之介 一戸 大地 袴田 健一
出版者
日本腹部救急医学会
雑誌
日本腹部救急医学会雑誌 (ISSN:13402242)
巻号頁・発行日
vol.36, no.7, pp.1187-1191, 2016-11-30 (Released:2017-03-18)
参考文献数
28

上腸間膜静脈血栓症(superior mesenteric venous thrombosis:以下,SMVT)は腸間膜静脈の血流障害により,腸管のうっ血や肝機能障害をきたす比較的まれな疾患である。死亡率は0~23%とされており,初期対応が非常に重要とされる。症例は32歳女性。数日前からの嘔吐,発熱,腹痛を主訴に近医で抗生剤投与が行われていたが症状の改善を認めず,腹部CTで急性虫垂炎が疑われ当院へ救急搬送された。腹部CTで回結腸静脈から上腸間膜静脈にかけて血栓が認められ,急性虫垂炎に合併したSMVTと診断し,同日虫垂切除術を行った。術後は大きな合併症なく良好に経過し,速やかに抗凝固療法が開始され第8病日に退院された。虫垂炎にSMVTを合併した症例については,血栓形成の原因除去を目的とした虫垂切除術とSMVTの進展や波及を防ぐ抗凝固療法が重要であることが示唆された。
著者
春木 康伸 山日 千明 柴田 正慶 三浦 卓也 山川 暢子 福田 康司 櫻井 聖一郎
出版者
一般社団法人 日本不整脈心電学会
雑誌
心電図 (ISSN:02851660)
巻号頁・発行日
vol.37, no.1, pp.5-11, 2017 (Released:2018-02-11)
参考文献数
8
被引用文献数
1

心房細動(atrial fibrillation : AF)に対するカテーテルアブレーション(radiofrequency catheter ablation : RFCA)後のAF再発判定にホルター心電図が有用であるが,通常の検査期間は24時間であり,十分な判定が行えないこともある.そのため,当院では体外式ループ心電計を用いて判定を行っており,今回その有用性について検討した.2012年11月~2015年4月にAFに対するRFCAを施行し,治療後に体外式ループ心電計を1週間装着した210例を対象とした.装着初日(24時間)のAF検出率と全記録時間(1週間)のAF検出率の比較,日数別のAF検出数を比較した.装着初日のAF検出率は8.6%(18例),全記録時間のAF検出率は16.7%(35例)であった.日数別のAF検出数は,初日は18例,2日目は15例,3日目は13例,4日目は12例,5日目は10例,6日目は15例,7日目は13例であった.1週間の検査は24時間のみの検査に比しAFの検出率が約2倍となることから,RFCAの治療結果をより正確に判定し,適切な診断および治療を提供できるという点で有意義と思われた.AFに対するRFCA後の治療効果の判定には,24時間より長時間記録可能な体外式ループ心電計が有用であった.