- 著者
-
中野 久松
三牧 宏彬
- 出版者
- 法政大学
- 雑誌
- 基盤研究(C)
- 巻号頁・発行日
- 2006
研究成果:アンテナ素子を電磁気的バンドギャップ(EBG)反射板上に極超低姿勢状態で配置し,この場合のアンテナ放射特性を明らかにした.(1)スパイラル素子2線式スパイラルアンテナをEBG板表面上から0.07波長以下の高さに配置.EBG表面とスパイラルとの間を誘電体で満たし,アンテナを75%以上に小形化することに成功.(2)カール素子カールアンテナをEBG板表面上から0.06波長の高さに配置.給電部付近のストリップ幅を変化させることにより,50Ω給電線とのインピーダンス整合に成功している.(3)逆Fアンテナ素子2素子逆F素子をEBG板表面上から0.03波長の高さに配置.これらの素子が,同相及び逆位相で給電された場合の放射特性を明らかにしている.電圧定在波比帯域は,同相給電で約10%,逆位相給電で約21%である,との結論を得ている.(4)折り返し線状素子折り返し線状アンテナをEBG板上から0.06波長の高さに配置.完全導体板上の折り返し線状アンテナと比べ,放射抵抗が増加することを明らかにしている.(5)パッチ素子円偏波パッチをEBGパッチで囲んだ場合の放射特性を検討.EBGパッチの効果により,直交偏波成分を低く抑えることに成功している.さらに,EBG板の短絡ピンの有無について,利得の観点から考察を加えている.意義:アンテナ素子と金属反射板との距離(アンテナ高)は,従来、1/4波長が標準となっていた.アンテナ高を極超低姿勢化すると、アンテナ特性は劣化する.本研究では,EBG反射板を用いて,アンテナ特性を劣化させることなく,極超低姿勢を実現した点に意義がある.重要性等:アンテナの超低姿勢を実現したことにより,アンテナ構造体の体積を極端に小さくすることが可能となった.小形化は搭載スペースが限られている移動体へのアンテンナ設置を容易にしている.