著者
長谷川 眞紀 大友 守 三田 晴久 秋山 一男
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.54, no.5, pp.478-484, 2005-05-30 (Released:2017-02-10)
参考文献数
11
被引用文献数
6

【背景】"シックハウス症候群"は室内環境要因-アレルゲン, 病原菌, 揮発性化学物質など-によって惹起される健康被害と考えられているが, その病態, 病因についてはまだ確立していない. また"シックハウス症候群"は微量の揮発性化学物質によって起こる化学物質過敏症と重なる部分が大きいと考えられる. 【方法】我々の施設を訪れた患者の中から, 4つの仮のクライテリア((1)化学物質への曝露歴, (2)多臓器の症状, (3)症状を説明するような他の疾患の除外, (4)慢性の症状)によって, 化学物質過敏症の可能性例を選び出し, その臨床像を調べた. 【結果】130名余りの患者のうち, 50名が可能性例と判定された. 女性が38名, 男性が12名, 年齢は15歳から71歳であった. そのうち42名(84%)の患者がなんらかのアレルギー性疾患の既往, または合併を持っていた. これは本邦一般人口中のアレルギー疾患の有病率よりずっと大きい. アレルギー疾患の中ではアレルギー性鼻炎が最も多かった. 総IgE値は比較的低値で32名(64%)が200IU/ml未満であった. 抗ホルムアルデヒドIgE抗体が陽性の患者はいなかった. 化学物質負荷試験後の末梢血ヒスタミン遊離反応では, reactivityもsensitivityも低下していた. 【結論】化学物質過敏症がアレルギー的機序によって惹起されるとは考えられないが, 化学物質過敏症がアレルギー疾患を持っている患者に起こりやすい, またはアレルギー疾患を顕在化させる可能性が考えられた.
著者
山田 哲夫 田口 裕功 西村 浩 三田 晴久 信太 隆夫
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.33, no.5, pp.264-268, 1984-05-30 (Released:2017-02-10)

エビとイカによる食餌アレルギーが原因であった間質性膀胱炎の1例を経験した.症例は33歳男性で, 1965年頃より難治性の膀胱刺激症状を呈し, 1975年に当科を受診した.既往歴や試食によりエビとイカが原因と推定された.そしてエビとイカエキスの皮下注や膀胱内注入誘発試験で主訴と同様な症状を認めると同時に, 誘発後血中と尿中のヒスタミンとセロトニンの上昇がみられた.治療の主体を食餌よりエビとイカを除くことにより, 現在まで症状の再発を認めていない.
著者
長谷川 眞紀 大友 守 三田 晴久 秋山 一男
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.54, no.5, pp.478-484, 2005
被引用文献数
3

【背景】"シックハウス症候群"は室内環境要因-アレルゲン, 病原菌, 揮発性化学物質など-によって惹起される健康被害と考えられているが, その病態, 病因についてはまだ確立していない. また"シックハウス症候群"は微量の揮発性化学物質によって起こる化学物質過敏症と重なる部分が大きいと考えられる. 【方法】我々の施設を訪れた患者の中から, 4つの仮のクライテリア((1)化学物質への曝露歴, (2)多臓器の症状, (3)症状を説明するような他の疾患の除外, (4)慢性の症状)によって, 化学物質過敏症の可能性例を選び出し, その臨床像を調べた. 【結果】130名余りの患者のうち, 50名が可能性例と判定された. 女性が38名, 男性が12名, 年齢は15歳から71歳であった. そのうち42名(84%)の患者がなんらかのアレルギー性疾患の既往, または合併を持っていた. これは本邦一般人口中のアレルギー疾患の有病率よりずっと大きい. アレルギー疾患の中ではアレルギー性鼻炎が最も多かった. 総IgE値は比較的低値で32名(64%)が200IU/ml未満であった. 抗ホルムアルデヒドIgE抗体が陽性の患者はいなかった. 化学物質負荷試験後の末梢血ヒスタミン遊離反応では, reactivityもsensitivityも低下していた. 【結論】化学物質過敏症がアレルギー的機序によって惹起されるとは考えられないが, 化学物質過敏症がアレルギー疾患を持っている患者に起こりやすい, またはアレルギー疾患を顕在化させる可能性が考えられた.