著者
森 槙子 平島 徳幸 大津 正和 古場 慎一 藤﨑 亜紀 藤﨑 伸太 三砂 範幸 成澤 寛
出版者
日本皮膚科学会西部支部
雑誌
西日本皮膚科 (ISSN:03869784)
巻号頁・発行日
vol.76, no.6, pp.555-561, 2014-12-01 (Released:2015-04-16)
参考文献数
18

われわれは,2005 年から 2013 年の 8 年間に 5 例の aquagenic palmoplantar keratoderma (以下 APK) を経験した。全症例が 3 歳から 17 歳までの若年女性であった。入浴時や運動時などの手掌や足底の過度な浸軟という主訴や問診をもとに手部浸水試験を施行し,「hand in the bucket」 徴候を認め APK と診断した。診察時には特に症状を認めない例や,一見手湿疹や掌蹠角化症 (palmoplantar keratoderma) 様の症状を呈する例を経験した。症例 1,2 では皮膚生検を施行し,病理組織学的に過角化と角層内汗管の開大を呈していた。全例,塩化アルミニウム溶液の外用にて加療したところ,1 例では改善に乏しかったが,他 4 例では効果を認めた。掌蹠における難治性の湿疹性病変や過角化を有する若年の患者をみた際には病変部が浸軟しやすいかを確認し,わずかにでも APK を疑う場合,積極的に手部浸水試験を行うことが望ましい。
著者
御塚 加奈子 尾形 美穂 井上 卓也 中房 淳司 三砂 範幸 成澤 寛
出版者
日本皮膚科学会西部支部
雑誌
西日本皮膚科 (ISSN:03869784)
巻号頁・発行日
vol.69, no.3, pp.259-262, 2007 (Released:2007-07-06)
参考文献数
13

70歳,男性。初診の4ヵ月前より背部にそう痒を伴う紅斑が出現した。膝関節,手背にも紅斑が拡大し,下肢の筋力低下も伴うようになった。臨床所見及び病理組織学的所見より皮膚筋炎と診断した。初診時血液検査にて汎血球減少と異型リンパ球を認めたため,造血器悪性腫瘍を疑い骨髄穿刺を施行し,急性骨髄性白血病と診断した。皮膚筋炎に悪性腫瘍を合併することが多いことは知られているが,急性骨髄性白血病を合併する症例は非常に稀であり,国内外併せて自験例を含め3例のみであった。悪性腫瘍を合併した皮膚筋炎について若干の考察を加えた。
著者
森 徹 三砂 範幸 成澤 寛 茂木 幹義 長谷川 英男 宮田 彬
出版者
日本皮膚科学会西部支部
雑誌
西日本皮膚科 (ISSN:03869784)
巻号頁・発行日
vol.64, no.1, pp.55-57, 2002-02-01 (Released:2010-09-02)
参考文献数
12
被引用文献数
3 1

69歳,男性。初診の約1年前より左側膝窩部に自覚症状のない皮下腫瘤が出現しているのに気付いた。1年後,左下腹部に同様の腫瘤が出現したが,これは膝窩部から移動したものと患者は訴えた。山水の飲水歴はあったが,明らかな生食の既往はなかった。初診時,左下腹部に2ヵ所,左鼠径部に1ヵ所,弾性軟の腫瘤を触知した。3ヵ所の腫瘤をすべて摘出したところ,各々から虫体が検出された。虫体の肉眼所見および組織所見よりマンソン裂頭条虫の幼虫であるプレロセルコイドと同定し,マンソン孤虫症と診断した。通常,多くのマンソン孤虫症は単発例であるが,自験例はその後,右下肢にも虫体を認めており,計4匹の多発例であった。