著者
シンショウゲツ 三竹一馬 前川寛 石原進
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告モバイルコンピューティングとユビキタス通信(MBL) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2014, no.25, pp.1-8, 2014-03-07

近年、高度成長期に整備した都市インフラの老朽化が目立ち、道路陥没等の多くの事故が発生している。下水管の維持のために、人による目視および高価なロボットを使った方法による調査が行われるが、いずれも高いコストが伴ってしまう。筆者らはセンサノードを用いた下水管の検査を安価に行うシステムとして 「流れるセンサネットワーク」 を提案している。このシステムではカメラ等のセンサを搭載した小型無線センサノードを複数台下水路に流す。各ノードはセンシング時にのみ起動し、定期的に近隣ノード群から選出される代表ノード (CH) に管内の観測データを転送する。代表ノードは次の代表ノード選出まで起動を続けて他のノードからの観測情報を収集し、マンホールに設置されたアクセスポイント (AP) へ収集したデータを転送する。代表ノードの電力枯渇や故障により、代表ノードが収集したデータの損失が起こる可能性がある。本論文では流れるセンサネットワークのための 3 つのバックアップ方法 (i) Self backup、ii) Overhearing backup、iii) Assigning backup) を提案し、そのシミュレーション評価について述べる。シミュレーションの結果、故障がなく、初期電力が少ない場合、Self Backup のみがバックアップを用いない流れるセンサネットワークより多くのデータを回収できることが分かった。また、ノードの故障がある場合、Self BackupとAssigning Backup が効果的であり、特に故障率が高い場合に Assigning Backup の効果が大きいことが分かった。