著者
三谷 奈見季 山地 直樹 馬 建鋒
出版者
日本植物生理学会
雑誌
日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集 第51回日本植物生理学会年会要旨集
巻号頁・発行日
pp.0886, 2010 (Released:2010-11-22)

これまでに我々は典型的なケイ酸集積植物であるイネから内向きケイ酸輸送体Lsi1と外向きケイ酸輸送体Lsi2を同定し、これらの輸送体が根からのケイ酸の積極的吸収に重要であることを明らかにしてきた。またオオムギやトウモロコシからもそれらの相同遺伝子を単離し、イネのケイ酸輸送体と同じケイ酸輸送機能を有することがわかった。しかしその一方でオオムギやトウモロコシはイネに比べてケイ酸の吸収量が低く、植物の種類によってケイ酸吸収能力が異なる機構についてはまだ明らかにされていない。そこで本研究ではオオムギおよびイネ由来のケイ酸輸送体の発現量や局在性などを検討した。根での発現量をReal time PCR絶対定量法で比較した結果、Lsi1、Lsi2ともにオオムギよりイネで数倍高く発現していることが明らかになった。次に組織局在性の影響を検討するため、HvLsi1 promoter制御下でOsLsi1 およびHvLsi1をイネのlsi1変異体に導入した形質転換体を作成した。その結果OsLsi1、HvLsi1共に内皮細胞と外皮細胞に極性をもって局在し、イネ本来の輸送体と同じ局在性を示した。これらの形質転換体を用いてケイ酸吸収量を比較した結果、ケイ酸吸収量はOsLsi1を導入した株がHvLsi1を導入した株に比べ高い傾向が見られた。これらの結果はイネ由来の輸送体は強い輸送活性を有していることを示唆している。