- 著者
-
三谷 篤史
- 出版者
- 札幌市立大学
- 雑誌
- 若手研究(B)
- 巻号頁・発行日
- 2006
前年度に購入したユニバーサル顕微鏡を用いて,フィーダ表面およびマイクロパーツ表面をモデル化した。顕微鏡による撮影画像を,画像解析により断面形状を離散データ化し近似する方法を適用した。ここでは,微小物体表面に存在する凸部が半球型であると仮定してモデル化した。フィーダ表面が完全なのこぎり歯であると仮定してシミュレーションを行い,実験結果と比較した。その結果,より複雑なモデルによる近似が必要であることが分かった。また,微小物体の摩擦角を計測することにより,凝着力を検証した。ここでは,仰角を20 deg,ピッチを0.01,0.02,\…0.1mmとしたフィーダ表面を用いて,湿度を変化させた場合の摩擦角を計測した。なお,湿度は40,50,60,70%とした。さらに,湿度が輸送におよぼす影響を実験により検証し,湿度60%において最も高速な輸送が実現できた。これらの結果について,一般的な工場の湿度が作業効率の観点から55?65%に設定されていることから鑑みれば,本実験結果は妥当性の高いものである。一方,フィーダ表面を顕微鏡で観察したところ,フィーダ表面形状は非対称三角波形状をしていることが分かった。すなわち,フィーダ表面は完全なのこぎり歯形状である必要はなく,非対称形状を有していれば対称平面振動による一方向輸送が可能であると考えられる。そこで,フィーダ表面の加工法として,フェムト秒ダブルパルス加工法の適用を検討した。第1パルスによる材料の蒸散と同時に,第2パルスを照射し蒸発粒子を再加熱することで,反跳力は第2パルスの入射角方向にシフトする。これらの作用を利用して非対称表面を加工した。なお,フィーダの材料はステンレスである。ここでは,得られた加工表面を原子間力顕微鏡により計測し,Duty比35%の非対称性が確認された。また,輸送実験を行うことにより,これら加工法の適用可能性を示した。