著者
北村 愼治 藤永 卓治 大川 順正 三軒 久義 吉田 利彦 山口 眞司 高田 実 高尾 哲人
出版者
社団法人日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科學會雜誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.73, no.10, pp.1324-1332, 1982-10-20
被引用文献数
44

転移性副腎腫瘍の1例を報告した。患者は55歳男性で,約1年半前,肺扁平上皮癌の為,右肺上葉切除術を受けた。その後,微熱と貧血が続き,又,コンピューター断層撮影により左腎上部に腫瘤像がみられた為,当科へ入院した。超音波断層撮影工血管撮影等により,左副腎腫瘍と診断され,左腎・副腎摘出術が施行された。その組織像は,肺原発の転移性副腎腫瘍であつた。転移性副腎腫瘍は,臨床的には見逃される事が多いが,剖検的には比較的高頻度に認められている。そこで著者らは,昭和49年から53年迄の5年間の日本病理剖検輯報に基いて,125,581剖検例中の転移性副腎腫瘍の統計的検討を行ない,特にその原発巣に関して検討を加えた。転移性副腎腫瘍の診断には,画像イメージ診断法が有効である事を強調した。