著者
棟近 雅彦 三輪 高志
出版者
一般社団法人日本品質管理学会
雑誌
品質 (ISSN:03868230)
巻号頁・発行日
vol.30, no.4, pp.96-108, 2000-10-15
被引用文献数
2

市場のニーズをいかにして把握するか, いかにして製品の設計に取り入れるかは企業にとって常に課題となる.近年, 市場のニーズは多様化しているため, 単に機能的なものにとどまらず, 人間のイメージやフィーリングによって評価される感性的なニーズにも注目する必要がある.感性的なニーズを把握するための調査では, SD(Semantic Differential)法によるアンケート調査が用いられた事例が多くみられる.SD法とは, 評価用語に形容詞対を用い, 対象の意味を測定する手法である.しかし, 調査にSD法を適用するにあたり, どのような情報を把握するべきかが明確になっていないために, 評価用語としてどのようなものを取り上げるかについての指針がないのが現状である.本報では, 感性的なニーズを把握するための調査では, どのような情報を得るべきかを明確にし, SD法のアンケート調査に用いる評価用語選定の指針を提案する.本報で提案する指針を用いることで, 系統的に評価用語を抽出することが可能となる.また, 認知知覚過程に基づき感性品質がどのように評価されているのかを明らかにすることにより, 感性品質を考慮した製品設計のための有用な情報を得ることができる.