著者
上井 恵理 寺田 岳 秋山 純基 一色 賢司
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.52, no.5, pp.276-280, 2011-10-25 (Released:2011-12-27)
参考文献数
14
被引用文献数
1 2

精油成分蒸気を利用したヒスタミン産生菌の制御の可能性を検討した.14種類の精油成分蒸気のヒスタミン産生菌 で あ るMorganella morganii NBRC3848お よ びRaultella planticola NBRC3317の2菌株に対する最小発育阻止量(MID)を測定し,精油成分蒸気がヒスタミン産生菌の制御に利用可能か検討した.14種類の精油成分のうちアリルイソチオシアネート(AIT)およびサリチルアルデヒド(SA)の2種類が両者に対して高い抗菌効果を示した.M. morganii NBRC3848 および R. planticola NBRC3317を接種したメバチマグロおよびサバをAITおよびSAを充填して貯蔵したところ,魚肉中の一般生菌数の増殖,ヒスタミン産生菌の増殖および魚肉中に蓄積するヒスタミン量が抑制された.ヒスタミン食中毒を防ぐためには,食品の基本的な温度管理が重要であるが,食品中のヒスタミン産生菌の制御にAITおよびSAを利用することが,ヒスタミン食中毒を防止するために有効であると考えられた.