著者
石橋 正博 山田 傑 北村 尚男 真島 裕子 一色 賢司 伊藤 誉志男
出版者
日本食品化学学会
雑誌
日本食品化学学会誌 (ISSN:13412094)
巻号頁・発行日
vol.2, no.2, pp.93-96, 1996-03-29
被引用文献数
1

縮合リン酸塩のピロリン酸、ポリリン酸、メタリン酸の1日摂取量をマーケットバスケット方式で調査した。加工食品約340品目を(1)調味嗜好飲料、(2)穀類、(3)イモ類・豆類・種実類、(4)魚介類・肉類、(5)油脂類・乳類、(6)佐藤類・菓子類、(7)果実類・野菜類・海草類の7群に分け、それぞれの群の縮合リン酸含有量を測定し、各群ことの喫食量をかけて摂取量とした。(1)縮合リン酸の1日摂取量は、15.8mgでピロリン酸が7.2mg、ポリリン酸が3.8mg、メタリン酸が5.0mgであった。(2)摂取量の多いのは、5群の6.0mgと4群の5.1mgで、主な摂取源は、5群のチーズと4群の魚介類・食肉類であった。特に、チーズの種類と喫食量は摂取量に大きく寄与することが分かった。(3)地区別の比較では、東部地区と西部地区がやや多かった。東部地区の5群が特に多かったのは、チーズの種類による影響と思われる。(4)昭和58年度、昭和62年度、平成3年度、平成6年度の調査結果より、縮合リン酸の摂取量は増加傾向にある。(5)世代別の摂取量の比較では、高齢者、学童が成人に比べ多くなった。4群は各世代に摂取量の違いはあまりなかったが、5群はチーズの種類の影響でかなりばらつきがあった。その他、学童の6群と7群も他の世代に比べやや摂取量が多かった。
著者
上井 恵理 寺田 岳 秋山 純基 一色 賢司
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.52, no.5, pp.276-280, 2011-10-25 (Released:2011-12-27)
参考文献数
14
被引用文献数
1 2

精油成分蒸気を利用したヒスタミン産生菌の制御の可能性を検討した.14種類の精油成分蒸気のヒスタミン産生菌 で あ るMorganella morganii NBRC3848お よ びRaultella planticola NBRC3317の2菌株に対する最小発育阻止量(MID)を測定し,精油成分蒸気がヒスタミン産生菌の制御に利用可能か検討した.14種類の精油成分のうちアリルイソチオシアネート(AIT)およびサリチルアルデヒド(SA)の2種類が両者に対して高い抗菌効果を示した.M. morganii NBRC3848 および R. planticola NBRC3317を接種したメバチマグロおよびサバをAITおよびSAを充填して貯蔵したところ,魚肉中の一般生菌数の増殖,ヒスタミン産生菌の増殖および魚肉中に蓄積するヒスタミン量が抑制された.ヒスタミン食中毒を防ぐためには,食品の基本的な温度管理が重要であるが,食品中のヒスタミン産生菌の制御にAITおよびSAを利用することが,ヒスタミン食中毒を防止するために有効であると考えられた.
著者
一色 賢司
出版者
日本マイコトキシン学会
雑誌
マイコトキシン
巻号頁・発行日
vol.67, no.1, pp.29-32, 2017

<p> 人間は従属栄養生物であり,ご先祖から食べ物で多くの苦労をしてきた.食品安全は,国,民族,地域でとらえ方や定義が異なる.食品安全分野でも,地理的条件,食文化が違うのに否応なしに国際標準化は進行している.食料自給率が低い我が国は,食品のリスク分析だけではなく,農場から食卓までのフードチェーン・アプローチを重視すべきである.消費生活においても,川上と川下の協力がなければ安定的な調達は困難である.我が国のフードチェーンは,地球全体に伸びていることを国民に説明し,理解を得なければならない.気候変動や天災,さらにテロなどの不測の事態にも備えるべきである.</p>
著者
小川 哲郎 一色 賢司
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 : Nippon shokuhin kagaku kogaku kaishi = Journal of the Japanese Society for Food Science and Technology (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.43, no.5, pp.535-540, 1996-05-15
参考文献数
14
被引用文献数
3 18

アリルイソチオシアネート(AIT)を含むハーブの揮発性成分による微生物の増殖抑制の可能性を追求すると共に,これらの揮発性成分の併用による微生物制御を試みた.<BR>AITを除く14種の揮発性成分のうち,真菌に対してはアルデヒド類のみが抑制効果を示し,枯草菌に対してはアルデヒド類および炭化水素類が抑制効果を示した.特にサリチルアルデヒドは,供試した真菌,細菌いずれの増殖も抑制した上,細菌に対してはAITと同じ10.0mgの添加で抑制効果が認められた.また,カルバクロールは,AITでは抑制効果の弱かった黄色ブドウ球菌に対し増殖抑制効果を示した.AIT 3.0mgとカルバクロールあるいはサリチルアルデヒド5.0mgを併用することにより,供試菌すべての増殖を抑制することが可能であり,それぞれの使用量も半分以下に軽減された.AITとこれら2種の揮発性成分の組み合わせによる餅の保存試験では,40日経過後においてもカビの発生は認められなかった.<BR>AIT臭のマスキングについて検討した結果,バニラ及び柑橘系オイルで高いマスキング効果が認められた.
著者
一色 賢司 津村 周作 渡辺 忠雄
出版者
Japanese Society for Food Hygiene and Safety
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.24, no.3, pp.344-349, 1983-06-05 (Released:2009-12-11)
参考文献数
9
被引用文献数
9 9

防カビ剤及び防虫剤の摂取レベルについて検討を加え, 次のような結果を得た.1) 7家庭より採取した1人1日分の喫食直前の飲食物 (陰膳) から防カビ剤が検出された. 平均含有量はジフェニル165μg, オルトフェニルフェノール24μg, チアベンダゾール33μgであった.2) 国民栄養調査による果物の摂取量を基にして可食部に由来する防カビ剤の1人1日当りの摂取量を算出した. その結果得られた防カビ剤の摂取量は, ジフェニル0.29μg, オルトフェニルフェノール0.09μg, チアベンダゾール0.04μgであった.3) 7家庭のいずれの陰膳からも防虫剤ピペロニルブトキサイドは検出されなかった.4) 穀類の摂取量を基にして防虫剤の1人1日当りの摂取量を算出したところ, 1.77μgという値が得られた.
著者
松岡 猛 川島 よしみ 穐山 浩 三浦 裕仁 合田 幸広 瀬畑 環 一色 賢司 豊田 正武 日野 明寛
出版者
Japanese Society for Food Hygiene and Safety
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.149-157_1, 1999-04-05 (Released:2009-12-11)
参考文献数
10
被引用文献数
30 38

PCR法を用いて, 遺伝子組換えダイズ (GMSダイズ), 非組換えダイズ (non-GMSダイズ) 及びそれらのダイズを用いた加工食品から組換え遺伝子の検知を行った. DNA溶液の調製は, CTABを用いる方法が有効であった. 検知感度は, ダイズ種子において0.05%のGMSダイズの混入したものまで, 豆腐においては0.5%のGMSダイズを含有した豆腐までであった. 市販豆腐41試料に本法を適用し, 27試料の豆腐から組換え遺伝子を検知した. 納豆では, 本法による組換え遺伝子の検知は困難であった. しかし, 挽割り納豆において, nested PCR 法によりダイズに内在的に含まれるレクチン遺伝子を検知できた.
著者
石橋 正博 山田 傑 北村 尚男 真島 裕子 一色 賢司 伊藤 誉志男
出版者
日本食品化学学会
雑誌
日本食品化学学会誌 (ISSN:13412094)
巻号頁・発行日
vol.2, no.2, pp.93-96, 1996-03-29 (Released:2017-12-01)
参考文献数
6

縮合リン酸塩のピロリン酸、ポリリン酸、メタリン酸の1日摂取量をマーケットバスケット方式で調査した。加工食品約340品目を(1)調味嗜好飲料、(2)穀類、(3)イモ類・豆類・種実類、(4)魚介類・肉類、(5)油脂類・乳類、(6)佐藤類・菓子類、(7)果実類・野菜類・海草類の7群に分け、それぞれの群の縮合リン酸含有量を測定し、各群ことの喫食量をかけて摂取量とした。(1)縮合リン酸の1日摂取量は、15.8mgでピロリン酸が7.2mg、ポリリン酸が3.8mg、メタリン酸が5.0mgであった。(2)摂取量の多いのは、5群の6.0mgと4群の5.1mgで、主な摂取源は、5群のチーズと4群の魚介類・食肉類であった。特に、チーズの種類と喫食量は摂取量に大きく寄与することが分かった。(3)地区別の比較では、東部地区と西部地区がやや多かった。東部地区の5群が特に多かったのは、チーズの種類による影響と思われる。(4)昭和58年度、昭和62年度、平成3年度、平成6年度の調査結果より、縮合リン酸の摂取量は増加傾向にある。(5)世代別の摂取量の比較では、高齢者、学童が成人に比べ多くなった。4群は各世代に摂取量の違いはあまりなかったが、5群はチーズの種類の影響でかなりばらつきがあった。その他、学童の6群と7群も他の世代に比べやや摂取量が多かった。
著者
一色 賢司 桃園 裕子 衛藤 修一 津村 周作
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.41, no.6, pp.481-486, 1988-12-10 (Released:2010-03-01)
参考文献数
18
被引用文献数
1 1

縮合リン酸塩類の摂取原因となる食品を明らかにするために, まず分析法を迅速簡易化した。すなわち均質化した試料5.00gを遠心管に秤り入れ, あらかじめ氷冷した10%トリクロロ酢酸35mlを加えて3分間振とう抽出した。必要に応じて遠心分離を行い, 上清を綿栓ろ過してろ液を50ml容メスフラスコに集めた。1試料につき2本のイオン交換樹脂カラムを用いて, リン酸塩類の定性試験と分画を行った。オルトリン酸 (OP) は, モリブデン錯体として酢酸ブチルで抽出し, 310nmの吸光度を測定して定量した。各縮合リン酸塩 (CP) 分画は, 加水分解後, 発色させ830nmの吸光度を測定して定量した。OPは, 全試料から検出された。各種のCPが, いも類豆類加工品, 肉類・魚介類加工品, 油脂類・乳類加工品およびその他の加工食品等から検出され, これらの食品がCPのおもな摂取原因食品であると推定された。
著者
松岡 猛 栗原 秀夫 末藤 晴子 三浦 裕仁 日下部 裕子 穐山 浩 合田 幸広 一色 賢司 豊田 正武 日野 明寛
出版者
[日本食品衛生学会]
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.42, no.3, pp.197-201, 2001-06-25
参考文献数
10
被引用文献数
4 30

現在我が国で,食品及び飼料として安全性の確認されていない遺伝子組換えトウモロコシCBH351系統を特異的に検知するプライマーを開発し,PCR条件を設計した.PCR用プライマーは,2又は3生物種由来のDNA配列部分を増幅するように設計し,安全性が確認されている他の遺伝子組換えトウモロコシ,ダイズ,コメ,コムギ,オオムギに対して偽陽性がなく,特異的な検知を行うことができた.検知下限を調べるため,CBH351粉末とnon-GMトウモロコシ粉末の混合試料を調製し,DNAを抽出後,PCRを行った.その結果,CBH351を0.05~0.1%混合したものまで検知可能であった.
著者
徳岡 敬子 森 理三郎 一色 賢司
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.39, no.1, pp.68-71, 1992-01-15 (Released:2009-04-21)
参考文献数
11
被引用文献数
3 4

AITを主成分とするカラシ抽出物製剤が,糖濃度の高い食品から分離された5菌株の酵母の生育に対してどのような影響を及ぼすかをAw 0.97~0.86で検討し,次の結果を得た.いずれの菌株も,含気包装ではAw0.86あるいは0.89まで生育したのに対し,カラシ抽出物製剤封入包装では全てのAwにおいて生育が完全に阻止された.ヘッドスペース中のAIT濃度は封入後24~48時間で平衡に達し,そのときの濃度は2μg/mlであった.これらの酵母に対するAITの最小生育阻止濃度は3~15ng/mlで,かなり低い濃度で酵母の生育が抑えられることが明らかになった.
著者
豊田 正武 伊藤 誉志男 一色 賢司 大西 和夫 加藤 丈夫 神蔵 美枝子 白石 美子 原田 行雄 深澤 喜延 横山 剛 米田 孟弘 平山 佳伸 山本 芳子 藤井 正美 慶田 雅洋
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.36, no.6, pp.489-497, 1983 (Released:2009-11-16)
参考文献数
13
被引用文献数
3 4

1) 1982年11月上旬~中旬に, 厚生省の食品添加物1日摂取量調査方式 (マーケットバスケット方式) に従い, 各種食品を, 東京で大手スーパーより, 東京, 大阪で中堅スーパーより, 仙台, 和歌山, 北九州で中小スーパーより, 札幌, 山梨, 長野, 島根で地元小売店より購入し, 1人1日喫食量に相当する試料量を採取し, 8食品群ごとに集め, 各種食品添加物含量を分析し, 1日摂取量を求めた。2) 48品目の各種食品添加物の10機関の平均1日総摂取量は119.8mgであり, 個々の食品添加物の平均1日摂取量は, プロピレングリコール43mg, ソルビン酸36.3mg, 硝酸35.5mg, 安息香酸1.44mg, グリチルリチン酸1.39mg, サッカリンナトリウム0.91mg, プロピオン酸0.60mg, パラオキシ安息香酸エステル類0.23mg, デヒドロ酢酸0.19mg, 合成着色料0.096mg, 亜硫酸0.073mg, BHT0.023mg, 亜硝酸0.018mg, BHA0.001mgであった。3) 各種食品添加物の1日摂取量のADIに対する割合は, 天然由来も含む硝酸以外0~3%の範囲内にあり, 購入先の規模別では, 地元小売店の食品で保存料, 甘味料が多く, 中堅スーパーでは添加物含量が若干低い傾向が見られた。
著者
松岡 猛 栗原 秀夫 穐山 浩 三浦 裕仁 合田 幸広 日下部 裕子 一色 賢司 豊田 正武 日野 明寛
出版者
[日本食品衛生学会]
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.42, no.1, pp.24-32, 2001-02-25
被引用文献数
18 86

我が国で食品, 飼料用として輸入可能な組換えトウモロコシ7系統のうち, 5系統からの組換え遺伝子の検知を, 既報のMultiplex PCR法に改良を加えて行った. ゲノムDNAの抽出は実験時間が短縮でき, 研究室・環境への安全性で優れているスピンカラムを用いる方法で行った. 組換えトウモロコシに導入されているDNA塩基配列を解析し, 各組換え系統とトウモロコシに内在的にある<i>zein</i>遺伝子を1回のPCRで特異的かつ確実に特定でき, トウモロコシ, ダイズ, コメ, コムギ, オオムギに対してfalse positiveなバンドが見られないプライマーの設計を行った. 非組換え体に組換え体5系統を混合しMultiplex PCRを行うと, 各組換え系統に特異的な長さのバンドが観察できた. 本法による検知感度を非組換え体粉砕物に5系統の組換え体粉砕物を混合して調べたところ, 0.5%程度であった.