著者
上出 吉則 辰己 丈夫 村上 祐子
雑誌
情報教育シンポジウム論文集
巻号頁・発行日
vol.2017, no.39, pp.239-246, 2017-08-10

小学校でのプログラミング教育の実施に向けた有識者会議の提言では,「プログラミングへの興味を持ってもらうことが重要」 「既存の教科の中で実施」 などの提言が見られる.我々は,プログラミングを有志の生徒がおこない,同年代の生徒の創作した Scratch プログラム教材を中学校の数学の授業で活かす試みをおこなった.「図形の回転移動」 の単元での図形の移動概念の理解を目標とした.さらに,本研究では数学の授業としての情意面での効果を定量的に検証する試みをおこなった.Scratch プログラムの使用前と使用後の自己評価のデータの平均値を算出し F - 検定および t - 検定をおこなった.その結果,数学教育として通常の方法に比べて Scratch プログラムの効果があることがわかった.記述式回答においても,プログラミングへの興味 ・ 関心を示す生徒が増加した.これらのことより,算数数学教育においては,プログラミングを学ぶことや活用することで,教科書では不可能な数学的概念の深い理解が得られ,結果としてプログラミングへの興味 ・ 関心を持てることがわかった.