著者
伊藤 一成
雑誌
情報教育シンポジウム論文集
巻号頁・発行日
vol.2017, no.16, pp.110-120, 2017-08-10

ピクトグラムとは日本語で絵記号,図記号と呼ばれるグラフィックシンボルであり,意味するものの形状を使ってその意味概念を理解させる記号である.特に人自体を表現したピクトグラムは数多く存在し,本論文では人型ピクトグラムと称する.Papert は,自分自身の体を使ってタートルになったふりをすることで,LOGO の命令を実行することができるという特徴に大きな重要性を見いだし,これを同調的学習と呼んだ.これは,人型ピクトグラムに対する本人との同一視効果や感情移入の効果に相当するものと考えられる.また Papert は,タートルは文化活動に結びつく一種の文化同調も見られるとしている.ピクトグラムは,観光,異文化コミュニケーション,語学,認知,心理,防災,福祉,医療,情報デザインなど様々な領域で人々の生活や文化に広く根付いており,人型ピクトグラムを題材とすることで文化同調の効果も期待できる.そこで,人型ピクトグラムを用いたプログラミング学習環境 「ピクトグラミング」 を実際に構築し,評価した.
著者
土肥 紳一
雑誌
情報教育シンポジウム論文集
巻号頁・発行日
vol.2017, no.43, pp.271-276, 2017-08-10

プログラミング教育では,学生が情報端末を購入し,大学へ持ち込む BYOD (Bring Your Own Device) が普及している.教室内の気温は,人や情報端末によって上昇する.教室内の気温や湿度は空調によって容易に制御できるが,二酸化炭素濃度の上昇は気付きにくく,換気を行わないと下げられない.厚生労働省の二酸化炭素濃度の基準は 1000 ppmである.一般的に,二酸化炭素濃度が 1000 ppm を超えると眠気などを誘発すると言われている.眠気の誘発は,モチベーションの低下につながる.本論文では,教室内の空気の調査結果について述べる.
著者
森本 尚之
雑誌
情報教育シンポジウム論文集
巻号頁・発行日
vol.2018, no.38, pp.248-255, 2018-08-12

三重大学では学部入学生のノートパソコン必携制度 (一種の Bring Your Own Device, BYOD) を 2018 年度に導入した.本論文では,制度導入にあたっての課題(インフラ整備やパソコンの初期セットアップなど)を整理し,それらへの対応を実例を交えて報告する.また,入学生アンケートの結果や制度導入に合わせて開設した相談窓口(ICT サポートデスク)の運用状況などを基にして,制度開始の状況を分析する.
著者
山根 信二
雑誌
情報教育シンポジウム論文集
巻号頁・発行日
vol.2018, no.29, pp.199-204, 2018-08-12

教育のゲーミフィケーションとしてのクエスト授業 (Quest–based Learning) について,北米の実施例をモデルとしてローカライズおよび支援システムの試実装と中間評価を行った.まずクエスト授業と支援システムについて整理し,次に北米のゲーム産業と大学教育との連携によるクエスト授業の事例について述べる.必要とされる機能を実現するために従来の LMS のモジュールを拡張することでクエスト授業を支援する学習管理システムを構築した.プロトタイプ評価として,北米の大学におけるゲーム開発・プログラミングの QBL 科目の日本版の教材を開発・試運用して評価を行なった.ゲームデザインの観点から,クエスト学習支援するマップ機能を新たに考案し開発を行った.最後に今後の課題について議論を行う.
著者
八城 年伸
雑誌
情報教育シンポジウム論文集
巻号頁・発行日
vol.2021, pp.53-60, 2021-08-21

COVID-19 によるオンライン授業においては,授業をする側,受ける側の双方が不慣れなため,様々な問題が生じた.その中には,授業をする側のちょっとした工夫で,大きく改善できたものもあると考えられる.中でもノイズの低減や講義内容の提示方法については,受講の快適さや理解度に大きく関わることから,YouTube 等の解説動画で用いられる「ゆっくり解説」の手法により改善を図った.コンテンツの作成に多大な手間がかかるため,手間に見合う効果が得られたのかについては疑問が残るが,その一方で幾つかの知見が得られた.
著者
久野 靖
雑誌
情報教育シンポジウム論文集
巻号頁・発行日
vol.2018, no.1, pp.1-8, 2018-08-12

筆者らは文部科学省委託事業として「情報学的アプローチによる『情報科』大学入学者選抜における評価手法の研究開発」を実施している.その一環として,思考力・判断力・表現力を評価する手法,ならびにそのような評価を行う問題を作成する方法について検討中である.本発表では,2017 年度までの事業において定義した7 つの思考力等に対応した作問手順について紹介する.
著者
越智 徹
雑誌
情報教育シンポジウム論文集
巻号頁・発行日
vol.2017, no.35, pp.215-220, 2017-08-10

筆者は新入生を対象とした,情報リテラシー関連の授業を担当している.2014 年以前では,新入生の PC スキルは年々向上していたと感じられたのに対し,2014 年からは新入生のキーボード操作やファイル操作など,PC スキルが前年度よりも落ちているのではと感じることが多々あった.この原因は,急速なスマートフォンの普及と,それに伴う 「若者の PC 離れ」 があるのではないかと推測し,実態を把握するため 2015 年から 3 年間,新入生に対して PC とスマートフォンに関する調査を行った.本稿では 3 年間実施したこの調査を分析した結果を報告する
著者
越智 徹
雑誌
情報教育シンポジウム論文集
巻号頁・発行日
vol.2018, no.37, pp.242-247, 2018-08-12

筆者が担当する授業「情報社会と倫理」において,Twitter における「マナー」についてアンケート調査を行った.このアンケート調査では,日本特有のマナーとしてよく話題に挙げられる「FF 外から失礼します」「無許可 RT 禁止」についてどう思うかについて学生の意見を求めたところ,「FF 外から失礼します,無許可 RT 禁止は守るべきである」と回答した学生は全体の 10%であり,理由として「その行いが他者を不快にすることや,自分が不快になるかもしれないようなことは自重すべき」「日本人の性質として最低限のマナーを守ろうとしている所から出てきたものなので遵守すべき」などが挙げられた.本稿ではこれらの意見から,現実社会とネット社会を地続きとして考える地続き型ユーザを提案し,これらユーザの違いについて考察する.
著者
中野 由章 中山 泰一
雑誌
情報教育シンポジウム論文集
巻号頁・発行日
vol.2017, no.1, pp.1-7, 2017-08-10

大学入試センター試験において,数学 ② の選択科目として 「情報関係基礎」 が長く出題されている.これは,数学 Ⅱ ・ B を履修していない専門学科の生徒も大学入試で不利にならないよう配慮されたものである.高等学校 2003 年度入学生から学年進行で普通教科 (現 ・ 共通教科) 情報科が必履修となったが,専門学科の生徒は専門教科の学習でそれを代替する特例措置があり,殆どの専門学科ではその特例を利用して,共通教科情報科を開設していない.そこで,現行学習指導要領における専門教科の情報関係基礎科目の目標と内容について分析し,その類型化を試みる.
著者
John Augeri Shoji Kajita
雑誌
情報教育シンポジウム論文集
巻号頁・発行日
vol.2017, no.42, pp.263-270, 2017-08-10

This paper focuses on the first observations on trends regarding the innovative physical Learning Spaces in EU, North America, Oceania and Asia, and intend to compare the Japanese situation to the other territories. The Learning Spaces phenomenon represents a key transformation factor in Higher Education around the world, on the institution's IT and on the teaching and learning practices. Nevertheless, beside obvious similarities, interesting differences - some of them culturally related - are observed in the Learning Spaces strategy, design and uses from countries to other ones.
著者
三好 きよみ
雑誌
情報教育シンポジウム論文集
巻号頁・発行日
vol.2020, pp.89-95, 2020-12-12

2020 年度からの小学校でのプログラミング教育等,プログラミング教育への政府の取り組みが強化されてきて おり.それにより,プログラミングに興味を持つ学生も増加している.プログラミングの学習は初学者にとっては様々 な難しさがあり,初心者に対するプログラミング教育は慎重に行う必要がある.本報告では,公立大学法人福岡女子 大学国際文理学部にて実施した,Processing による初学者向けプログラミング教育における,授業内容の構成,初学 者向けの工夫について紹介し,受講者の学習意欲の推移の調査結果を報告する.学習意欲の推移について,プログラ ミング経験が全くない受講者群,プログラミング経験が少しでもある受講者群について比較分析した結果,経験なし 群は,受講回が進むにしたがって学習意欲が向上していたが,経験あり群は,受講前半において学習意欲の低下が確 認された.
著者
新田 章太 小西 俊司 竹内 郁雄
雑誌
情報教育シンポジウム論文集
巻号頁・発行日
vol.2019, pp.114-121, 2019-08-10

プログラミング教育の普及に伴い,プログラミング学習環境の構築や改善への期待が高まっている。企業などにおけるプログラミング研修や,新しいプログラミング教育法を開拓している学校では,プログラミング言語の多様化や高度化,アップデートへの対応が必要である。このためには,少ないヒューマンリソースで,進化の激しいプログラミング技術領域における学習教材・試験の編集・改善ができるシステムが望まれる。本研究では,学校や企業におけるプログラミング教育に用いることのできるシステムとして track というオンラインプログラミング学習・試験配信システムを提案する。 track は複数のプログラミング言語に対応しやすい実行環境や自動採点機能を搭載した,オンラインのプログラミング教材や問題を誰もが柔軟に作成・編集できるシステムである。本論文は track の研究課題と解決手法を記述し,プログラミング教育の新しい手法として提案する。
著者
上出 吉則 辰己 丈夫 村上 祐子
雑誌
情報教育シンポジウム論文集
巻号頁・発行日
vol.2017, no.39, pp.239-246, 2017-08-10

小学校でのプログラミング教育の実施に向けた有識者会議の提言では,「プログラミングへの興味を持ってもらうことが重要」 「既存の教科の中で実施」 などの提言が見られる.我々は,プログラミングを有志の生徒がおこない,同年代の生徒の創作した Scratch プログラム教材を中学校の数学の授業で活かす試みをおこなった.「図形の回転移動」 の単元での図形の移動概念の理解を目標とした.さらに,本研究では数学の授業としての情意面での効果を定量的に検証する試みをおこなった.Scratch プログラムの使用前と使用後の自己評価のデータの平均値を算出し F - 検定および t - 検定をおこなった.その結果,数学教育として通常の方法に比べて Scratch プログラムの効果があることがわかった.記述式回答においても,プログラミングへの興味 ・ 関心を示す生徒が増加した.これらのことより,算数数学教育においては,プログラミングを学ぶことや活用することで,教科書では不可能な数学的概念の深い理解が得られ,結果としてプログラミングへの興味 ・ 関心を持てることがわかった.
著者
中野 由章 中山 泰一 筧 捷彦 萩谷 昌己 久野 靖 角田 博保 辰己 丈夫 Yoshiaki Nakano Yasuichi Nakayama Katsuhiko Kakehi Masami Hagiya Yasushi Kuno Hiroyasu Kakuda Takeo Tatsumi
出版者
情報処理学会
雑誌
情報教育シンポジウム論文集
巻号頁・発行日
vol.2021, pp.100-105, 2021-08-21

高等学校共通教科情報科は、2025年度大学入学共通テストから出題されることが大学入試センターと文部科学省から発表されている。しかし、その検討素材としては、大学入試センターが2020年に示した試作問題(検討用イメージ)と2021年に公開したサンプル問題しかない。そこで、2022年度から高等学校で始まる「情報Ⅰ」の授業内容の構築に資するべく、1997年度大学入試センター試験から出題されている「情報関係基礎」の問題を分類し、高等学校共通教科情報科との対応を試みた。
著者
髙橋 圭一
雑誌
情報教育シンポジウム論文集
巻号頁・発行日
vol.2021, pp.202-208, 2021-08-21

我々はこれまで Ruby on Rails を用いた Web アプリケーション開発科目の提出物であるログファイルと Git リポジトリを用いて受講者の躓き要因を分析してきた.その結果,受講者が課題着手中に発生した例外は 9 つであること,また,それぞれの例外が発生した原因として 11 個の誤りパターンがあることが確かめられた.本稿では,それぞれの例外を修正するための試行回数と修正時間を調査し,例外ごとのデバッグの難易度を明らかにする.
著者
赤澤 紀子 赤池 英夫 柴田 雄登 山根 一朗 角田 博保 中山 泰一 Noriko Akazawa Hideo Akaike Yuto Shibata Ichiro Yamane Hiroyasu Kakuda Yasuichi Nakayama
出版者
情報処理学会
雑誌
情報教育シンポジウム論文集
巻号頁・発行日
vol.2021, pp.261-268, 2021-08-21

2022年より,高等学校の「共通教科情報科」は,必履修科目の「情報 I」と選択履修科目の「情報 II」が設置され,すべての高校生が,プログラミングなどを含む情報の科学的な理解を主とした「情報 I」を履修することになる.また,2025年から「情報 I」が大学入学共通テストで出題されることが正式に決定した.これにより,各大学の個別入試においても入試科目に「情報」が設置される可能性が増してきた.大学入学試験として情報を出題するためには,大学など出題する側と,受験する高校側で,出題内容や範囲,用語などの共通な知識体系が必要となる.しかし現在はまだ,「情報」の知識体系は明確に定められていない.そこで,本研究では,知識体系の明確化を目標として,「情報 I」の教科書で用いられる用語から知識体系に関する考察を行う.
著者
久野 靖 江木 啓訓 赤澤 紀子 竹内 純人 笹倉 理子 木本 真紀子
雑誌
情報教育シンポジウム論文集
巻号頁・発行日
vol.2017, no.41, pp.255-262, 2017-08-10

電気通信大学では 1 年次の前期に 「コンピュータリテラシ」 を必修で開講している.2017 年度から科目の運営をリフォームし,さまざまな実習を多く行ってもらうように工夫している.その中で 「コンピュータの動作原理」 を学ぶ回の実習材料として仮想的な (簡潔な命令セットを持つ) コンピュータのシミュレータをアセンブリ言語で記述するものを取り入れた.本発表ではその経験について報告する.
著者
高橋 真奈茄 小出 洋 近藤 秀樹
雑誌
情報教育シンポジウム論文集
巻号頁・発行日
vol.2017, no.40, pp.247-254, 2017-08-10

本研究は,具体的な機能をもつソフトウェア開発を行う実践的なプログラミング演習授業のための支援環境の開発において,学習者の学習進度を把握する機能の実現を目的とする.学習進度把握機能の実現するために,同じ授業を受講する学習者の PC 上の網羅的な活動履歴を利用し,学習者ごとの活動パターンを抽出する手法を提案する.実践的なプログラミング演習授業における目標は,プログラミング言語の機能を組み合わせて具体的な機能を実現するソフトウェアを開発することである.学習者が目標を達成するためには,プログラミング熟達者が利用するソフトウェア開発環境と同等であること,つまり,プログラミング言語の機能を十分に活用できること,統合開発環境以外のツールを利用できること,仕様書や講義資料,インターネット上の情報といった様々な資源を利用できること,といった条件を満たす制約のない環境が必要である.このような制約のない環境において学習者の学習進度を把握するため,網羅的な活動履歴を利用する.その中でも,PC 上のアクティブアプリケーションウィンドウの遷移に注目する.属人性の高い情報を分析するため,K-means 法を用いた活動履歴の分類を試みる.実際に開講されているプログラミング実習授業を受講する学習者のうち 24 名の活動履歴を分析した結果,属人性を抑えた活動パターン抽出の可能性,学習者は予想より多様性に富んだ活動パターンを示すこと,同じ授業を受講する学習者は制約のない的環境であっても共通したアプリケーションを利用することが示唆された.
著者
中西 渉
雑誌
情報教育シンポジウム論文集
巻号頁・発行日
vol.2021, pp.254-260, 2021-08-21

センター試験および大学入学共通テストの「情報関係基礎」ではプログラミングの問題が出題され,そこでは DNCL というプログラミング言語が使われてきた.筆者はこれらのプログラミングの問題でどのような文法事項が使用されてきたかを調査し,その上で共通テストで用いられることが予想されている新しいプログラミング言語 DNCL2(仮称)とその学習環境について考察した.結果として,筆者が開発している学習環境 PyPEN の実装について多くの示唆が得られた.
著者
大門 巧 大西 建輔 青山 浩
雑誌
情報教育シンポジウム論文集
巻号頁・発行日
vol.2021, pp.216-223, 2021-08-21

我々は,DNCL のブラウザ上での実行環境として Tetra を開発したが,高等学校での授業で使用するためには,機能の充実を図ることが必要であった.そこで,Tetra を改良した DNCL のブラウザ上での実行環境である XTetra を開発した.XTetra には,従来の Tetra の機能に加え,コンソールからの標準入力,描画関数,エディタのシンタックスハイライト機能が実装されている.高等学校において,Scratch の使用経験のあるクラスと,使用経験のほとんどないクラスで XTetra を用いた授業を実施し,アンケートを用いて処理系の評価をおこなった.その結果,Scratch の使用経験のあるクラスの理解度が使用経験のないクラスと比較して高くなった.また,XTetra はビジュアルプログラミング言語の要素とテキストベースのプログラミング言語の要素の両方を備えているため,ビジュアルプログラミング言語でのプログラミング経験のある生徒の理解を高める効果が期待できるという仮説が立った.