著者
上原 弘三
出版者
神戸大学
雑誌
神戸大学医学部紀要 (ISSN:00756431)
巻号頁・発行日
vol.57, no.3, pp.141-147, 1997-03
被引用文献数
1

日本の家屋におけるアレルギー性ダニの最近の分布状況を明らかにするため. 61戸のダニアレルギー患者(主として喘息患者)家屋と比較対照のために11戸の健常人家屋から屋内塵を採取し,コナヒョウヒダニDermatophagoides farinae HughesとヤケヒョウヒダニDermatophagoides pteronyssinus (Trouessart)の抗原レベルを比較した。掛け布団と枕においては,対照家屋より患者家屋の方が高い抗原レベルを示したが,敷き布団,カーペット,畳および板間については差がなかった。年間で見ると春から秋の期間(4〜10月)が他の時期に比べて材料の表面1m^2当たり10μg以上の抗原レベルを示したサンプルが多く,年間を通じて観察された掛け布団とまくらにおける患者家屋と対照家屋との差異が, この期間においても確認された。患者家屋の掛け布団,敷き布団,枕,カーペットおよび畳において木造家屋の方がコンクリート家屋より高い抗原レベルを示した。患者家屋の環境要因とダニ汚染の関連について考察した。