著者
上月 裕一
出版者
日本化粧品技術者会
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.43, no.4, pp.254-259, 2009-12-20 (Released:2011-12-21)
参考文献数
7

分子軌道およびニューラルネットワークを用いて,化粧品素材のリスクアセスメントを可能とするための,in silico 安全性予測システムの開発を試みた。皮膚刺激性のデータベースとして,文献およびわれわれの研究機関の実験結果から,161検体のhuman patch testの結果を採集した。皮膚刺激性を予測するための記述子としてmolecular weight,polarizabilityα,polarizabilityγ,dipole moment,ionization potentialを計算し,さらに,配合濃度,塗布時間を加えた。解析にはニューラルネットワークを用いた。その結果,human patch testの陽性率に関して,leave-one-out cross-validationによる結果で,妥当な精度が得られた(root mean square error 0.352)。したがって,分子軌道法およびニューラルネットワークを組み合わせて,化粧品素材の毒性ポテンシャルの予測のみならず,リスクアセスメントも可能な,in silico 安全性予測システムの構築の可能性が示唆された。