著者
上村 忠昌
出版者
鹿児島工業高等専門学校
雑誌
鹿児島工業高等専門学校研究報告.RESEARCH REPORTS OF KAGOSHIMA NATIONAL COLLEGE OF TECHNOLOGY
巻号頁・発行日
vol.35, pp.69-83, 2000-08-31

鹿児島県・宮崎県・愛媛県などを主として、「ラーフル」という語が「黒板拭き」という意味で使われている。業界のカタログ用語としてはかなり用いられているが、世間的には方言の状況にあり、全国的には通用しない。明治時代の初期には、大阪・愛知・和歌山あたりから西日本に広く使われていたものが、現在、西の周圏地域にだけ色濃く残ったものと思われる。語源は、幕末・明治初期の蘭学の中で用いられたと推測されるオランダ語のrafelと考えられる。rafelは、「こすること、撒糸(ホツシ)ニシタル、ほつれ糸、リント布」という意味で、明治初期に我が国に黒板が導入された時期的状況からも、語源として最も蓋然性が高い。