著者
上村 智子
出版者
社団法人 日本リハビリテーション医学会
雑誌
リハビリテーション医学 (ISSN:0034351X)
巻号頁・発行日
vol.42, no.10, pp.714-720, 2005 (Released:2006-09-22)
参考文献数
20
被引用文献数
3 4

介護保険制度による改修サービスの課題を検討するために追跡調査を行った. 2002年度広島県三原市の改修申請者88名 (77.4±8.9歳, 女性61名・男性27名) を対象とした. 2002年度全申請者から死亡者39名と転居者7名を除く323名に調査を依頼した (承諾率27%). 改修541±120日後に利用者宅で実施した. 15名 (17%) が, 改修したトイレ・浴室・外出口いずれかの使用を6カ月以内に中断した. 3件は屋内で車いすを使うための改修であり, 改修直後に使用が中断された. 12件は段差解消以外の改修であり, 利用者の心身機能低下後に中断された. 認知障害者の改修設備の6カ月以内の使用中断のオッズ比は, 障害なしの者より高かった (p = 0.001). 車いす導入改修と認知症高齢者の改修の課題が明らかになった.
著者
上村 智子
出版者
広島県立保健福祉短期大学
雑誌
広島県立保健福祉短期大学紀要 (ISSN:13420070)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.65-70, 1998-03

目的 : 脳卒中発症後の麻痺側上肢の機能回復過程にみられる障害像をMFS{上肢機能スコア, MFT(脳卒中上肢機能検査)の得点}が反映するかどうかを検討した。方法 : 脳卒中による片麻痺患者81名(右片麻痺39名, 左片麻痺42名)の回復過程に収集した250件のデータを分析に用いた。MFTの8つの下位得点の組み合わせ(パターン)が上肢の障害像を反映していると仮定して, 回復過程で収集した下位得点の構造を調べた。下位得点のパターンの類似度によってデータを分類し, 各群のMFSの分布を調べた。結果 : MFT下位テスト間で連関の低かった上肢の運動課題とペグボード課題(手指の巧緻性評価)の得点の小計をみると, 少数例ではあるが小計が同点でも障害像の異なるケースがあった。下位得点のパターンの類似度で分類した場合, 各群に属する50%のデータではMFSが群ごとによく分離していた。結論 : MFSは麻痺側上肢の障害像をある程度反映していた。Object : The purpose of this study was to determine if an MFS (Manual Function Score) describes the actual state of the paretic upper extremities seen post-stroke. Methods : 250 MFT (Manual Function Test) results of 81 stroke survivors (39 Rt. hemiplegia, 42 Lt. hemiplegia) collected during the paretic recovery process were analyzed. Assuming that a combination pattern of 8 MFT subscores shows the state of the paretic upper extremities, the relationship among the subscores was investigated. The 250 data were classified into 6 groups by the pattern of their subscores. The distribution of the MFS of each group was checked. Results : There was a low association between the arm function and the finger dexterity measured by the peg board test. Occasionally, even when the subtotal of both subscores was same, figures of subscore components were different. The comparison between each group of MFS showed that difference in patterns of subscores is reflected in a difference in total MFS in 50% of the cases studied. Conclusion : The total MFS generally corresponded to the actual state of the paretic upper extremities seen post-stroke.国立情報学研究所で電子化