著者
高田 節子 田村 典子 塚原 浩子
出版者
広島県立保健福祉短期大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1996

田淵まさ代は日本の近代看護の黎明期にあって、大正10(1920)年英国ロンドンで開催された第2回国際公衆衛生看護講習会に参加した。大正9年赤十字社連盟第一回総会で、各国赤十字社の事業の1つに公衆衛生看護婦養成が決議され、各国から講習生を派遣し第1回は既に前年に開かれている。第1回は期日の切迫の為派遣は見送られたが、第2回講習会には女学校時代から英語の学習研鑚を積み英語力に堪能なまさ代が選ばれた。帰国後まさ代は講習会での学習とヨーロッパ各地の施設で見聞した看護事情を報告書にまとめ、いくつかの提言をしている。なかでも英語教育の必要性に関する提言は内地留学制度導入の契機となり、その制度で何人もの国際的に活躍した看護婦が生まれた。まさ代はまた救護看護婦や社会看護婦の養成に従事した。パリで事故に遭われた北白川宮妃殿下の看護に選ばれて派遣された。またシベリア派遣救護班の婦長としても活躍し、こうした功績に対して昭和12(1937)年ナイチンゲール記章が授与された。
著者
本岡 直子
出版者
広島県立保健福祉短期大学
雑誌
広島県立保健福祉短期大学紀要 (ISSN:13420070)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.53-58, 1997-03

語彙習得は言語学習において大きな役割を担っている。その言語習得に対しては, 多くの方法が考案されている。語彙表を作って覚えるやり方もあれば, 語彙表で単語のみを覚えるやり方は意味がないと主張する人もいる。きちんと文脈を伴って覚えなければ語彙の本当の意味が理解できないので, 文脈のなかで語彙を覚えるべきたと言う人もいる。本研究では, 語彙の習得をするための方法を考察するために, 語彙を記憶する際の文脈の効果について検討を行った。英単語を記憶へ取り入れるためには, 文脈を付帯した方がより効率よく記憶へ取り入れることができるかどうかを検証し, また, 外国語の記憶域と習熟度の関係について, 英語能力テストと語彙記憶量との関係を調べることによって検討した。その結果, 英語の単語を短期記憶の中に貯蔵するためには文脈がほとんど影響力を持たず, 逆に, 語彙表で覚える方がより短期記憶の中に入りやすいという結果が得られた。また, 英語能力テストと英単語の記憶量との相関が若干見られ, 英語能力が伸びれば伸びるほど, 記憶量も増えるのではないかという示唆を与えている。国立情報学研究所で電子化
著者
宮口秀樹 沖田 一彦 小竹 亜季 山田 典子 松田 弥亜子
出版者
広島県立保健福祉短期大学
雑誌
広島県立保健福祉短期大学紀要 (ISSN:13420070)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.69-76, 1999-03
被引用文献数
2

片麻痺患者の身体イメージを理解することを目的に, 片麻痺患者29名にSD法による身体イメージの測定を行った。方法は, 川原ら(1991)が身体イメージの因子として抽出した5因子, 1.評価性, 2.活動性・俊敏性, 3.活動秩序感, 4.力量, 5.情動的感情的の中から片麻痺の表現に適すると思われた形容詞対の中から25項目選択した。測定は上肢と下肢にそれぞれ7段階の評価尺度を用いた。さらに, 身体のイメージを12色の色鉛筆で表現してもらった。結果は, 平均で見ると上肢を下肢よりもマイナスのイメージでとらえる傾向がみられた。また, 重い-軽いというような力量性を表す形容詞対でイメージが反映されやすいことが分かった。身体の色のイメージは上肢下肢とも赤系, 青系, 黒をイメージする者が多かった。下肢の機能と比較し上肢の機能は複雑であることがイメージの違いになった可能性が示唆された。国立情報学研究所で電子化
著者
上村 智子
出版者
広島県立保健福祉短期大学
雑誌
広島県立保健福祉短期大学紀要 (ISSN:13420070)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.65-70, 1998-03

目的 : 脳卒中発症後の麻痺側上肢の機能回復過程にみられる障害像をMFS{上肢機能スコア, MFT(脳卒中上肢機能検査)の得点}が反映するかどうかを検討した。方法 : 脳卒中による片麻痺患者81名(右片麻痺39名, 左片麻痺42名)の回復過程に収集した250件のデータを分析に用いた。MFTの8つの下位得点の組み合わせ(パターン)が上肢の障害像を反映していると仮定して, 回復過程で収集した下位得点の構造を調べた。下位得点のパターンの類似度によってデータを分類し, 各群のMFSの分布を調べた。結果 : MFT下位テスト間で連関の低かった上肢の運動課題とペグボード課題(手指の巧緻性評価)の得点の小計をみると, 少数例ではあるが小計が同点でも障害像の異なるケースがあった。下位得点のパターンの類似度で分類した場合, 各群に属する50%のデータではMFSが群ごとによく分離していた。結論 : MFSは麻痺側上肢の障害像をある程度反映していた。Object : The purpose of this study was to determine if an MFS (Manual Function Score) describes the actual state of the paretic upper extremities seen post-stroke. Methods : 250 MFT (Manual Function Test) results of 81 stroke survivors (39 Rt. hemiplegia, 42 Lt. hemiplegia) collected during the paretic recovery process were analyzed. Assuming that a combination pattern of 8 MFT subscores shows the state of the paretic upper extremities, the relationship among the subscores was investigated. The 250 data were classified into 6 groups by the pattern of their subscores. The distribution of the MFS of each group was checked. Results : There was a low association between the arm function and the finger dexterity measured by the peg board test. Occasionally, even when the subtotal of both subscores was same, figures of subscore components were different. The comparison between each group of MFS showed that difference in patterns of subscores is reflected in a difference in total MFS in 50% of the cases studied. Conclusion : The total MFS generally corresponded to the actual state of the paretic upper extremities seen post-stroke.国立情報学研究所で電子化