著者
三野 たまき 上條 真友子
出版者
一般社団法人 日本繊維製品消費科学会
雑誌
繊維製品消費科学 (ISSN:00372072)
巻号頁・発行日
vol.51, no.4, pp.321-326, 2010-04-20 (Released:2016-08-31)
参考文献数
16

若年女性の関心の高い下肢部の浮腫の内,足部位に着目し,その実態を明らかにした.被験者は20歳代前半の成人女子8名(BMIは20.0±1.5)で,彼女らそれぞれの月経周期の高温期に足部容積を測定した.なお測定には自作した測定用シューズを用い,彼女らの右足部(利き足)の,足首(部位B)と足首より先端(部位A)の2部位に分けて,8:00~16:00の間に5回容積を測定した.被験者の右足部容積の増加率(y)を調べたところ,測定時間(x,単位は分)との間に,y=3.34(1-e-t/235.1)(R2=0.997)の曲線近似がなされた(足部全体).なお椅座位で8時間(480分)過ごした後の足部容積は,部位Aは561.7±50.2mlから579.3±51.7mlへと17.5ml,部位Bは194.5±35.8mlから200.9±40.0へと6.4ml,有意に増加した.また,部位Aの容積変化率はy1=3.24(1-e-t/242.2)(R2=0.976)に曲線近似されたことから,8時間以内では相対容積増加率が徐々に増えつづけることがわかった.一方部位Bのそれは,y2=3.41(1-e-t/151.4)(R2=0.949)に曲線近似され,部位Bは部位Aに比べ,容積増加率の時定数が90.4分短くなることがわかった.このように,同じ足部でも足首とその先端部では,部位特異的に容積増加率の経時変化の様子が異なった.