著者
三野 たまき 上田 一夫
出版者
日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 = Journal of home economics of Japan (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.49, no.3, pp.255-267, 1998-03-15
参考文献数
10
被引用文献数
1

本研究では, 静立位の浴衣圧・それに対する官能評価・体型・浴衣の着崩れとの関係をSPEARMANの順位相関を用いて検討した.被験者は20~30歳代の成人女子5名であった.浴衣圧(液圧平衡法を使用)は呼吸運動や動作などの様々な因子によって変化した.浴衣圧は主に腹部に発生していた.最も高い圧が計測されたのは帯の下層の, 浴衣と腰紐との間の水平面であった(静立位では10.7±9.7mmHg(14.6±13.2gf/cm^2), 正座位では18.9±10.8mmHg(25.7±14.7gf/cm^2)).トップバストとアンダーバストの差が大きい被験者ほど, 胸元の着崩れ量が多かった.右脇線の着崩れ量は腰紐の締め方に依存した(20mmHg(27g/cm^2)を超えないように, 腰紐をしめるべきである).胸元の着崩れ量が多い被験者ほど, 圧感覚(締め感覚)の大きさは小さかった.
著者
三野 たまき 松井 泉樹
出版者
一般社団法人 日本繊維製品消費科学会
雑誌
繊維製品消費科学 (ISSN:00372072)
巻号頁・発行日
vol.49, no.3, pp.207-216, 2008

近年, 脚の整容効果を目的とした着圧ハイソックスが多数市販されており, むくみを気にする人は足を細く見せるために圧の高い製品を選びがちである.しかし, 着圧ハイソックスの整容効果の詳細とこれが生体に及ぼす影響につては未だ明らかにされていない.本研究では快適で効果的なむくみを改善するためのハイソックスの基本設計条件を検討した.被験者は19~23歳の女子8名であった.一日2回, 測定間隔を4時間以上あけた午前と午後に, 下腿と足部の容積を自作の測定ブーツを用いて測定した.3種類のハイソックス ("ちょうど良い"と感じるAソックス, 最も低圧の市販着圧タイプのBハイソックス, Aハイソックスの上にサポーターで膝下から脹ら脛にかけて覆ったCハイソックス) を着用した時の, 被服圧とその圧感覚 (比率尺度によって評価) ・相対容積変化率 (午後の容積から午前のそれを差し引いた相対値) を調べた.すると, 足部ではAとCに比べBを着用した時の方が有意に圧は高く, かっ"きつい"と申告したが, どのハイソックスであっても相対容積変化率には差がなかった.下腿部では, A<C<Bの順に圧が有意に高く, その時の圧感覚も同一順に"きつい"と評価したが, 整容効果はAよりはB・Cであるものの, BとCは同程度であった.このことから下腿および足部の整容効果を期待する場合, 効果の期待できない足部を無理に圧迫する必要はなく, 下腿部のみの圧迫で充分であると考えた.また, 足部を圧迫せずに下腿部のみを圧迫 (Cハイソックス着用時) しても, 足部と下腿部をともに圧迫 (Bハイソックス着用時) した効果が下腿部で得られた.
著者
三野 たまき 南澤 信之
出版者
信州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

近年,被服製品に求められるコンセプトは見かけの美しさや製品の耐久性,扱いやすさなどに留まらず,その着心地までに波及し,ヒトの機能をも介助するための被服製品が望まれてきている.例えば,スポーツ選手が良い成績を残すために開発されたスポーツウエアや,人体の機能低下を介助するための製品の開発が望まれている.さて,これらの製品開発のためには,実験室レベルに留まらず,フィールドで実際に起こる被服内環境の実態を把握しなければならない.そこで,特定小型無線局を用いた被服内環境計測システムの開発を試みた.また,人体の呼吸代謝,血流速度,皮膚温,被服圧,下腿および足部の容積などの諸機能を指標とした,被服内環境の改善のために着目すべき因子とその影響についても明らかにした.被服内環境を知るためには,被服外環境や人体それ自身の因子を含めて初めて明らかになると考えた所以である.そこで,実験に用いた浴衣,ウエストベルト以外の実験衣は常に一定に保ち,ヒトが外部環境の変化に伴ってどのように変化するかを調べた.ヒトは地球上の生物であるがその地球環境の変化に伴って,呼吸代謝,皮膚温,血流速度,ウエストベルト圧,下腿および足部の容積は環境温度によって有意に変化することがわかった.つまり,積極的に環境温度を変えずとも,季節の推移に伴って変化しているのである.さらに,血流速度は日内変動し,ウエストベルト圧と下腿および足部の容積は有意に月経周期の位相によっても変動することがわかった.つまり,環境温や月経周期,日内変動を考慮に入れれば,より快適な被服環境を実現できるのである.このように,被服環境の実態を正確に捉えるために見過ごしてはならない因子の洗い出しとその影響について明らかにすることができた.今後,開発した特定小型無線局を用いた被服内環境計測システムを用いて,更に実生活に即したデータを蓄積し,人体の機能を介助する製品の開発に必要な基本設計指針を導き出す所存である.
著者
三野 たまき 熊谷 哲
出版者
信州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

簡易被服圧測定器の開発:従来より丈夫な受圧部の測定器を開発した.血圧トランスデューサーはディスポーザブルで,圧媒体に水を選び,駆動電源は乾電池のハンディタイプの簡易被服圧測定器を組み上げた.全身の適正圧分布,圧迫が足部容積・皮膚温・血流量・呼吸運動に及ぼす影響を明らかにした.周応力発生時の"ちょうど良い"被服圧は,頸部・胸部・腹部では低く,下腿部・足首・前腕・手首・指等で高かった.
著者
三野 たまき 内藤 由佳 關 麻依子
出版者
日本生理人類学会
雑誌
日本生理人類学会誌 (ISSN:13423215)
巻号頁・発行日
vol.13, no.3, pp.131-136, 2008-08-25 (Released:2017-07-28)
参考文献数
27

Many Japanese women have trouble with cold hands and feet. We examined how the skin temperature of the hands and feet are related to the environmental temperature. The subjects were eight otherwise healthy women aged 20-22 years, who complained of cold hands and feet. The dorsal and ventral skin temperatures of the hands and feet of a subject were measured using a thermotracer over two menstrual cycles. As the outside temperature and temperature in the bedroom increased from spring to summer, both the basal body and skin temperature of the hands and feet increased. However, the skin temperature of the hands and feet did not change with the basal body temperature, but were influenced more by the increase in bedroom temperature. Therefore, we compared subjects who woke up in a bedroom warmed to about 22℃ with those who woke in a bedroom at a normal winter temperature of about 9.6℃. During the low phase of body temperate, the basal body temperature and skin temperature of the hands of the subjects were significantly higher in the warmed bedroom. In other words, on warming the bedroom temperature in winter, the thermoregulatory center was under the illusion that it was spring or early summer, which played a dominant role in altering the circulation to the hands and feet.
著者
三野 たまき
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集 68回大会(2016)
巻号頁・発行日
pp.118, 2016 (Released:2016-08-04)

目的 肥満は成人病などの様々な病気の原因とされ,健康的な生活を送るためには,普段から食生活に気を配るとともに運動習慣を身につけ,体脂肪を適量に保つ必要がある.誰でもが無理なく行える有酸素運動条件下で体脂肪が燃焼しやすい運動負荷強度について調べることを目的とした.方法 被験者は健康な若年成人女性18名であった.測定前夜7時間の睡眠を取った被験者は毎朝5時に起床し,6時に規程食を摂食した.綿100%の半袖Tシャツとポリエステル100%のハーフパンツに着替え,環境温度24.5±0.3℃,相対湿度50.3±2.5%,照度827±27lx,気流8.0±0.1cm/sに設定した人工気象室7時に入室した.椅座位安静を1時間保った後,呼吸代謝と心拍数を8時から40分間測定した.運動負荷は,最高心拍数から年齢を差し引いた値のHRMAXの30,40,50,60,30%の強度で6分間ずつ自転車エルゴメーターをこがせた.運動負荷の前後には5分間の無運動負荷のコントロールを測定した.結果 エネルギー・糖・脂質消費量と相対心拍数は,ともに前コントロールに比べ,各運動段階及び後コントロールよりも有意に増加した.エネルギー・糖消費量と相対心拍数は有意に1<2<3<4段階であったので,運動強度を増せば,エネルギー・糖消費量や相対心拍数が増した.一方脂質消費量は,どの運動段階の組み合わせでもい有意な差がなかった.このことから,有酸素運動下では運動強度を高めても脂質消費量は増さないので,敢えて運動負荷強度を大きくする必要がないことがわかった.
著者
長保 美也 三野 たまき
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.64, 2012

<b>【目的】</b>肥満は成人病などの様々な病気の原因とされている。これを予防し健康的な生活を送るためには,食生活に留意すると共に,運動習慣を身につけ,体脂肪を適量に保つ必要がある。誰もが無理なく行える有酸素運動下において,体脂肪が燃焼しやすい条件を探ることを目的とした。 <b>【実験方法】</b>被験者は20~22歳の成人女子11名であった。彼女らに測定前夜7時間の睡眠をとらせ,測定2時間前までに規定食を摂食させた。人工気象室(環境温度24.5&plusmn;0.3℃,相対湿度50&plusmn;0.5%)に入室後,有酸素運動の範囲内で,自転車エルコ゛メーターによる運動負荷を30分間与えた。<b>実験Ⅰ:</b>ある被験者の夏・冬季の呼吸代謝をそれぞれ月経2サイクルにわたって測定した。 <b>実験Ⅱ</b>(冬季に実施):全被験者それぞれの月経周期の位相の①低温期と②高温期に半袖・半パンで数段階に運動負荷を変えた時,③半袖・半パン,④長袖・長ズボン・帽子・ネックウオーマーを着用し,かつ,休憩を交えて10Wの運動負荷の時,4条件下で呼吸代謝を測定した。得られたRQから,消費エネルキ゛ー(kcal/min)とその由来〔糖・脂肪(g/min)〕を算出した。【<b>結果・考察</b>】<b>結果Ⅰ:</b>有酸素運動下における消費エネルキ゛ー量は有意に夏>冬,脂肪量は有意に夏>冬であったことから,夏の方が脂肪は多く燃焼することがわかった。また脂肪量は夏季では高温期>低温期であるが,冬季では低温期>高温期となり,冬季は夏季に比べて,また冬季の高温期に特に脂肪が消費されにくくなることが示唆された。<b>結果Ⅱ</b>:消費エネルキ゛ー量は有意に①>③・④,②>③・④,④>③であった。糖・脂肪の消費量は有意に①>③・④,②>③であった。脂肪消費量と心拍との関係についても述べる予定である。
著者
三野 たまき 丹羽 寛子
出版者
一般社団法人 日本繊維製品消費科学会
雑誌
繊維製品消費科学 (ISSN:00372072)
巻号頁・発行日
vol.49, no.11, pp.793-802, 2008-11-25 (Released:2010-09-30)
参考文献数
20

若年女性の衣生活における浴衣の位置づけを, 女子大生 (長野市内在学) を用いてアンケート調査した.彼女らの97.2%に和服着用経験があったが, その着用機会は夏祭りや花火大会で, 浴衣の所有率が78.3%と最も高かった.洋服・振袖・浴衣のイメージを11項目で評価させ主成分分析したところ, 日常性と興味関心の2主成分が抽出された.振袖はより非日常へ, 洋服はより日常へ偏り, 両者の興味関心は同程度であった.一方浴衣は両者の中間に位置し, 興味・関心は最も高かった.彼女らは浴衣を「着物の中の浴衣」として捉えず, 「着物」とは別な, より身近な存在として捉えていた.また, 和服着用時の難点は動きにくさと圧迫に関する申告が多かった。着用機会があっても和服を着ないと答えた人は成人式で振袖を着た時に, 息苦しく, 動きにくく, 重く, 汚しそうで気疲れした経験を持っており, これが着物離れの一因であると考えられた.
著者
三野 たまき 上條 真友子
出版者
一般社団法人 日本繊維製品消費科学会
雑誌
繊維製品消費科学 (ISSN:00372072)
巻号頁・発行日
vol.51, no.4, pp.321-326, 2010-04-20 (Released:2016-08-31)
参考文献数
16

若年女性の関心の高い下肢部の浮腫の内,足部位に着目し,その実態を明らかにした.被験者は20歳代前半の成人女子8名(BMIは20.0±1.5)で,彼女らそれぞれの月経周期の高温期に足部容積を測定した.なお測定には自作した測定用シューズを用い,彼女らの右足部(利き足)の,足首(部位B)と足首より先端(部位A)の2部位に分けて,8:00~16:00の間に5回容積を測定した.被験者の右足部容積の増加率(y)を調べたところ,測定時間(x,単位は分)との間に,y=3.34(1-e-t/235.1)(R2=0.997)の曲線近似がなされた(足部全体).なお椅座位で8時間(480分)過ごした後の足部容積は,部位Aは561.7±50.2mlから579.3±51.7mlへと17.5ml,部位Bは194.5±35.8mlから200.9±40.0へと6.4ml,有意に増加した.また,部位Aの容積変化率はy1=3.24(1-e-t/242.2)(R2=0.976)に曲線近似されたことから,8時間以内では相対容積増加率が徐々に増えつづけることがわかった.一方部位Bのそれは,y2=3.41(1-e-t/151.4)(R2=0.949)に曲線近似され,部位Bは部位Aに比べ,容積増加率の時定数が90.4分短くなることがわかった.このように,同じ足部でも足首とその先端部では,部位特異的に容積増加率の経時変化の様子が異なった.
著者
上田 一夫 三野 たまき 河村 まち子 間壁 治子
出版者
共立女子大学
雑誌
一般研究(A)
巻号頁・発行日
1993

従来より、衣服の着心地の定量化が望まれていた。我々は、本研究の中で新しい衣服圧計測システム(液圧平衡法)を確立した。このシステムで計測した衣服圧は着心地感とよく対応することがわかった。そこで、この衣服圧と皮下脂肪、体表の粘弾性、官能評価との関連を調べた。超音波診断装置を用いて腹部の皮下脂肪の厚さを調べたところ、ウエストベルトを装着すると、ベルト下では皮下脂肪の厚さが減り、ベルトの上下の体部位では厚くなった。これらの結果から、ベルト圧に皮下脂肪の厚さが寄与する割合を求めると、約30%であった。一方ベルト圧に体表の応力が寄与する割合は約65%であった。履き心地の良い紳士の靴下圧は、口ゴム部で10mmHg、足首では5〜10mmHgであった。好まれる成人婦人用ハイソックス圧は、静立時の下腿において5〜10mmHgであった。同一衣服素材を用いて作製したウエストベルトとウエストニッパーを着用した場合、ウエストライン上に発生した圧は、前者より後者を装着した時の方が高かった。浴衣を着た時、おじぎに伴う着くずれは、主として胸元、帯の上端、おはしょりの下端および右脇線上の4部位に生じた。静立位で1部位当たり20mmHg以上の圧が生じるように腰紐を結んだ場合、圧値が高くなる程ずれ量が増した。おじぎに伴うおはしょりのずれ量と圧の変化率の間には、ベキ法則が成り立つことが分かった。浴衣を着慣れる(50回着用する)と、腹部に発生する浴衣圧の値は、どの被験者でも着用回数の増加に伴って、7mmHg/部位に収束した。衣服による圧迫がいかに自律神経系の機能に影響を与えるかを考察した。例えば、種々の強度の上腕圧迫の影響を手掌の皮膚温応答を指標として調べたところ、むしろ弱い圧迫刺激(8mmHg程度)によって皮膚温が顕著に下降することが分かった。