著者
岡田 真人 平野 あや 上江洌 達也
出版者
日本神経回路学会
雑誌
日本神経回路学会誌 (ISSN:1340766X)
巻号頁・発行日
vol.11, no.2, pp.82-88, 2004-06-05 (Released:2011-03-14)
参考文献数
12

相関型連想記憶モデルは,当初ヒトの行動レベルでの記憶現象を説明するモデルとして提案された.その後,Rollsによって海馬CA3回路が自己相関型連想記憶モデルとして働くという仮説が提案され,連想記憶モデルがヒトの行動レベルのマクロなモデルだけでなく,電気生理的に観測できるニューロンのレベルの神経回路モデルとなった.最近では,連想記憶モデルは高次視覚野である側頭葉の知見を説明するモデルとしても注目をされている.本解説では,連想記憶モデルを用いて側頭葉のニューロンの性質に関して一見異なって見える知見がどのように矛盾なく説明できるかを解説する.