著者
上田 孝行 福本 潤也
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.2001, no.688, pp.49-62, 2001-10-20 (Released:2010-08-24)
参考文献数
45
被引用文献数
3

本稿では, 行動モデル研究に関して筆者らが持っている問題意識を,『観測と被観測の関係』に着目しながら話題提供することを意図している. 取り上げる話題は次の三点である. 第一に, 既往の代表的なモデル作成方法を, 観測と被観測の関係を捉える一つの有力なアプローチである逆問題の考え方に依拠して整理する. 第二に, 観測のための統計情報の利用可能性が広がった場合に, モデルを用いた影響予測や政策評価の信頼性・妥当性の向上を通じて生じる情報価値を, 社会的厚生のタームで把握する問題について議論する. 第三に, 被観測の立場にある主体の選好を行動モデルを通して把握し, それに基づいて政策評価を行う場合に生じうる論理的・倫理的問題について議論する.
著者
小林 潔司 上田 孝行
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.2003, no.744, pp.15-27, 2003-10-20 (Released:2010-08-24)
参考文献数
56
被引用文献数
5 9

本稿では, 伝統的な工業経済学, 信頼性工学における修繕・補修モデルの考え方を述べ, インフラストラクチャ・マネジメントヘの適用可能性について言及する. インフラストラクチャ・マネジメント問題のプロトタイプを一般的な確率インパルス制御モデルとして定式化し, その基本的な解法を示す. また, その特殊型として離散型確率動的計画モデルを定式化するとともに, その活用方法を示す. さらに, IMの高度化のために必要となる研究課題, 中でもプロジェクト会計システム, 制度的メカニズム設計に関わる研究課題の重要性について考察し, 本特集論文の位置づけと今後の研究の方向性についてとりまとめる.
著者
宮下 光宏 小池 淳司 上田 孝行
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学)
巻号頁・発行日
vol.68, no.4, pp.316-332, 2012
被引用文献数
1

近年,アジアやわが国において,高速鉄道整備および計画が進められてきている.これらの評価は経済効果に主眼を置くものが多い.一方,高速鉄道整備の環境影響の評価は流動量や交通機関分担の変化に伴うCO<sub>2</sub>排出量の影響といった交通部門のみに主眼を置くものが多く,高速鉄道整備による経済成長に伴う産業部門からのCO<sub>2</sub>排出量増加を踏まえた分析事例は少ない.また,こうした評価が可能なSCGEモデルは各国で構築されているものの,国際比較による分析事例はみられない.そこで,本研究では韓国のKTX(韓国高速鉄道整備)と日本のMAGLEV(リニア中央新幹線整備)を対象として,これら双方の観点からの評価が可能なSCGEモデルを用いて,高速鉄道整備による経済効果及びCO<sub>2</sub>排出量の計測を試み,交通機関や産業構造の観点から国際比較を行う.
著者
小池 淳司 上田 孝行 秋吉 盛司
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木計画学研究・論文集 (ISSN:09134034)
巻号頁・発行日
vol.21, pp.367-374, 2004
被引用文献数
2

社会資本ストックの効果を正確に計測するには, 社会資本ストックによる便益の空間的帰着構造を把握する必要がある. 一方, わが国は自然災害の危険にさらされており, 特定の地域への災害が目本経済全体あるいは全国の各地域にどの程度影響するのかを事前に評価するためにも, 社会資本ストックによる便益の空間的帰着構造を知ることは重要な課題である. そのため, 本研究では社会資本ストックを生産要素の一部として扱うことが可能な空間的応用一般均衡モデルを構築し, 社会資本ストックの間接スピルオーバー効果を様々な経済変数および社会的厚生の観点から評価する. また, 実証分析を通じて, 関東地方での災害により経済的被害を全国レベルだけでなく各地域別経済的被害を明らかにした.