- 著者
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上田 直行
高木 俊明
津田 英照
無敵 剛介
- 出版者
- 久留米大学
- 雑誌
- 一般研究(C)
- 巻号頁・発行日
- 1986
術中電気メスが使用されると, 心電計や脳波形は強力な電磁障害を受けて使用できなくなる. このように現在一般に不可能とされている電気メス使用中の心電図や脳波測定を実現するため, すでに基本開発されている光多重生体計測システムの実用化と, これにより得られた生体情報をコンピューター室まで伝送し, 処理するために光ファイバーを用いた手術室内光伝送システムの実用化を目的として試作・検討を行った.光多重生体計測システムは電池駆動のトランスミッターにより心電図, 脳波2チャンネル, 血圧の電気信号を多重化して光信号に変換した後, 光ファイバーを通して伝送し, 受信機(モニター本体)で信号再生するものである. スペクトラムアナライザーを用いた電気メスノイズの解析の結果, 電磁波ノイズは減衰が大きいが伝導ノイズは減衰が小さく数Hz〜数百Hzのスペクトルを持つことが確認され, システム全体の耐ノイズ性を向上する上で問題となるのは手術室内に設置される光多重生体計測システムの受信部と光伝送システムの入出力インターフェース部の伝導ノイズであることなどが分った. 以上の結果を考慮して伝送距離50m/時分割方式4チャンネル(心電図・脳波2チャンネル・血圧)の光伝送システムを試作し検討した.以上の研究により従来不可能とされていた電気メス使用中の術中心電図や脳波を測定し, 伝送, 処理することが可能になった. さらに光伝送方式では患者に接続されるトランスミッターとモニター本体(受信部), モニター本体とコンピューター間が光ファイバーで完全に電気的に絶縁されるため最も重要なミクロショックや熱傷事故に対する安全性の点でも理想的であり, 耐ノイズ性と同時に高い安全性を実現できる点が本研究の特長である.