著者
武田 志乃 西村 まゆみ 山田 裕 上野 俊治 島田 義也
出版者
日本毒性学会
雑誌
日本トキシコロジー学会学術年会 第34回日本トキシコロジー学会学術年会
巻号頁・発行日
pp.5156, 2007 (Released:2007-06-23)

近年、劣化ウラン弾汚染地域やウラン鉱山伏流水を飲用する地域で健康影響についての報告が増加し、子どもへのウランの毒性影響に関心がもたれている。自然界に存在するウラン(天然型ウラン)や劣化ウランは放射線毒性よりも重金属としての化学毒性が優勢とされ、カドミウムや水銀様の腎臓の尿細管障害を引き起こすことが知られている。しかし発達期におけるウランの感受性や体内挙動は十分に理解されていない。その理由の一つは、組織中の微量ウランの測定が困難であったことがあげられる。すなわち、ウランはα線放出核種であるため、β線やγ線核種のように感光フィルムやイメージングプレートによる組織分布が簡便に得られない。 我々はこれまでに、ナノビームを利用した高エネルギー領域シンクロトロン放射光蛍光X線分析(SR-XEF)や誘導結合プラズマ質量分析(ICP-MS)による微量元素測定手法に取り組んできた。両手法は微小組織におけるウラン分析に有効であることから、我々はこれらの手法を幼若ラットにおけるウランの挙動解析に応用することを試みた。本研究では、ウランをばく露した生後6日齢および3週齢の雄性ラットにおけるウランの体内挙動、および腎臓中ウラン分布とアポトーシス誘導との関係を報告する。