著者
横山 幸滿 今泉 繁良 上野 勝利 水沼 孝恵
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.1997, no.568, pp.113-123, 1997-06-21 (Released:2010-08-24)
参考文献数
22

平成元年から同3年にかけて, 宇都宮市西郊の大谷石採取場で3,300m2にも及ぶ大規模な地下空洞陥没事故が発生し, その後引続き陥没事故が発生して社会的関心を集めた. 本論文ではまずはじめに大谷石の力学的性質, 特に一軸圧縮強度に及ぼす乾燥-湿潤履歴とクリープ破壊の影響を調べ, その後陥没のメカニズムについて検討し, 残柱の断面積と間隔について論じている. 更に陥没の発生日時と地球潮汐力との相関を調べ, 臨界状態にある空洞に対し地球潮汐力が陥没のトリガーの一つとなり得ることを述べている.
著者
横山 幸満 石井 紘 鈴木 将之 上野 勝利
出版者
宇都宮大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1992

1.大谷石の間隙は全体の40%で、間隙中の水と気体の挙動が強度に影響を及ぼす。岩というより超過圧密土としての性質が卓越する。2.地下水面下にある大谷石を地上で自然状態に放置すると、急速に脱水が進行する。これを吸収させても飽和度は80%にしか戻らない。3.完全飽和及び完全乾燥状態の大谷石の一軸圧縮強度は共に100kgf/cm^2程度で大きいが、上記の乾燥履歴を受けたものは強度が50%以下になる。4.大谷石は多孔質材料であるコンクリートと同様にクリープ挙動をする。50年以上安定している残柱の応力状態を考えると、応力比70%がクリープ破壊のめやすとなる。5.深い陥没は、残柱の逐次クリープ破壊に起因するもので、広い範囲の支持体を失った天盤が曲げ破壊することによって生じるものである。6.浅い陥没は、残柱破壊を必ずしも伴わず、地下水位上で風化を受け易い天盤の曲げ破壊によるものである。7.天盤のドーム状崩落やせん断破壊は曲げ破壊より起こりにくい。8.陥没・落盤等の事故の時系列解析の結果、これらのイベントは地球潮汐応力の球テンソル成分が圧縮の時に起こり易いことが分かった。限界状態にある天盤に対して、地球潮汐応力がトリガー効果を与えたものと考えられる。9.陥没前の地盤振動を解析した結果、約15日の卓越周期を得た。これも地球潮汐応力の影響を示している。10.実際の空洞直上のボーリング孔に高感度ひずみ計を埋設して計測を続けているが、地球潮汐力によるひずみを明確に捉えている。付近の地震計の動きとの相関を追っている状況である。