著者
上野 惠美 趙 彩尹
出版者
一般社団法人 アジアヒューマンサービス学会
雑誌
Journal of Inclusive Education (ISSN:21899185)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.83-93, 2022-08-30 (Released:2022-08-30)
参考文献数
8

2019年から始まった新型コロナウイルス感染症(COVID-19)によって、人々の日常生活が奪われ、行動制限の中で生活することとなった。コロナ禍の中、次世代を担う大学生の新卒採用において、企業等がどのような経験や能力を把握したいと考えているのかを確認し、今後のキャリア教育の内容に反映させることが本研究の目的である。本研究においては、大学生の就職活動の選考における初期段階で、選抜のために使われるエントリーシートに着目した。エントリーシートでは学生生活での経験を問う内容が多いが、コロナ禍の行動制限がある中で、それに答えることのできる内容は、コロナ禍前に学生生活を過ごした大学生と比較すると圧倒的に少ないと考えられる。そのため、エントリーシートの質問項目が大きく変化したのではないかという仮説を立てた。収集したエントリーシートをコロナ禍前後で比較するため、テキストマイニングによって分析を行った結果、コロナ禍前には画一的な質問項目が多かったがコロナ禍後においては、多角的な質問項目が増えたことが確認できた。また、「学業」「興味」「資格」という、コロナ禍においても一人で取り組みやすい質問項目が増えているという、興味深い結果が確認できた。