著者
村越 重雄 上門 敏也 張 清芬 桜井 成 田村 三郎
出版者
日本応用動物昆虫学会
雑誌
日本応用動物昆虫学会誌 (ISSN:00214914)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.26-30, 1976
被引用文献数
2

葉を主体とした地上部のメタノール抽出物が,カイコの生育に悪影響を与えることを確認した4種類の植物に含まれる活性成分を単離し,それらの成分のカイコの生育におよぼす影響を調べた。<br>1. キバナオランダセンニチに含まれる活性成分はspilantholであった。spilantholを人工飼料中に200ppm添加すると,すべての幼虫は6日後までに死亡した。<br>2. ジギタリス中の活性成分はdigitoxinにdigitalinが加わったものであると推定された。digitoxinは25ppmで虫体を軟化させ,100ppmで6日後にすべての幼虫を死亡させた。digitalinでは100ppmで虫体の軟化が見られたが,400ppmでも死亡するものはなかった。<br>3. コブシの活性成分としてsesaminとkobusinが単離された。kobusinは新しく見い出された化合物で,400ppm添加飼料を与えると,幼虫に強い生育阻害が見られ,すべてのものが5日後に死亡した。sesaminはkobusinの約1/2の活性を示した。<br>4. キツネノマゴからは活性成分として,justicidin AとBが単離された。justicidin Aでは20ppm添加飼料を与えると6日後にすべての幼虫が,Bではほとんどの幼虫が死亡するという強い活性が認められた。